カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアン・ロッキー(2
13、カナディアンロッキーを巡る
次の朝は快晴だった。
いよいよカナディアンロッキーへ。風光明媚な名所巡りの旅が始まるのだ!
ワクワク、期待は高まる。
列車の中で、寝苦しい前夜とは違って、朝まで一度も起きず、目覚めはバッチリだった。
朝食はコーヒーと駅前で買ったパンで簡単に済ませて出発時間を待った。
朝8時。
日本語ツアーのバスがホテルまで迎えに来てくれるとのことだったので、スーツケースをゴロゴロ引きずりながら、部屋の外に出た。
お日様が眩しい。
澄んだ空気が美味しい。
深呼吸をしてから、ツアーのバスを探して回りを見渡した。
観光バスのような大きなバスはまだ来ていない。
観光バスの変わりにランドクルーザーのような8人乗りの車がフロントの前に停車していた。
その傍には、日本人らしき男性が二人立っていた。そして、こちらを日本人と見て、挨拶してきた。
「おはようございます。Kさんですか?」
「ハイ。おはようございます」
「〇〇ツアーの山本です。今日は研修で、もう一人同行します斉藤です。よろしくお願いします。どうぞ、前の座席に乗ってください。」
「お世話になります」
「もう一組、ジャスパーの駅の近くのホテルに泊まっているので、これから迎えに行きますね」
英語ツアー参加の美月を残して、私たちは先に出発した。美月もまたホテルまでバスが迎えに来てくれるらしい。
最初は、山の中だからこの小さな車で迎えに来て、駅前で大きな観光バスに乗り換えるのかと思った。しかし、このクルーザーでバンフまで案内してくれるということだ。
そして、この日本語ツアーはもう一組、大阪に住む70歳代のご夫婦と同行することになった。
車は、昨日、1時間かかって歩いた道を5分ほどで下っていった。あっという間だった。
見覚えのあるレストランが並ぶ通りを走り、ホテルの前に着いた。
大きな観光バスも停まっていて、団体さんを乗せているようだ。
朝の8時過ぎだというのに、ジャスパー駅近くの通りは観光客でごった返していた。朝早くに出発して、それぞれ目的地に向かうワクワク感で、街は活気にあふれていた。
同行することになったご夫婦は、その観光バスの横を抜けて来て、
「初めまして、今日はよろしくお願いします」
と、私たちと挨拶を交わしながら車の後部座席に座った。
車は出発した。
運転をしてくれる山本さんは、運転をしながら景色の説明もしてくれる。とても神経を使う仕事だ。安全運転をよろしくね。
客が4人だけだったので、人見知りをする私は、最初緊張した。
しかし、この日本語ツアーは小回りがきいて、私たちの質問にもすぐに答えてくれるし、時間の融通もきく。このツアーにして良かったとホントに思った。
初めの計画通りレンタカーで走っていたら、地図を辿って行きたいところには行けても、そこに見える山が何という山で、あの氷河は何で、その花の名前は……などなどわからないまま通り過ぎてしまったかも知れない。
それらを詳しく説明してくれたこのツアーは英語ツアーより倍近いお値段だったが、レンタカーや、英語ツアーより今の私たちに合っていて選んで正解だった。
作品名:カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアン・ロッキー(2 作家名:ねむり姫