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カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアン・ロッキー(2

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20、レイク・ルイーズ



車は次の目的地、レイクルイーズに向かった。ここから車で30分ぐらいで行けるという。
途中の景色がまたすばらしかった。
このアイス・フィールド・パーク・ウェイは氷河で削り取られた谷底を走っていると前に書いた。
その中でも特に、ボウレイクからレイクルイーズに向かう辺りは冷たい風が吹くところだそうだ。
山肌には針葉樹林がスクッと伸びて育っているのに、谷底に近づくほどそれらの木がまばらで背も低いのだ。
今、芽を出しましたというものから、1〜2メートルくらいの低い木がたくさんある。
ここだけどうしたのかなと思っていると、この谷底は氷河からの風の通り道らしく冷たい風が吹き抜けるので、なかなか成長せず、背が低いままなのだそうだ。

230キロのパークウェイを走っただけでも数々の自然を学び、日本に居るだけでは味わえないたくさんの自然が織り成すエピソードを聞き、この眼に焼き付けてきた。
世界にはまだまだ知らないことがたくさんあるのだろう…。


レイクルイーズに向かう途中、さっき湖畔でみたクロウフット氷河がはっきり、大きく迫ってきた。
クロウフット……カラスの足……と言う意味だが、昔はカラスの足の形・3本の爪であったのが、100年位前に1本が崩れて、今では2本しか残っていない。
この氷河の厚みも50メートルぐらいあるそうだ。崩れた1本の付け根の辺りで、その氷の厚さがよくわかる。50メートルの氷の厚さを見上げると…やはり圧倒される。

クロウフット氷河を眺めながら車はアイス・フィールド・パーク・ウェイに別れを告げ、わき道に入る。

カナディアンロッキーのことは来るまでほとんど知らなかった私でも、この「レイクルイーズ」のことは知っていた。
いつもよく行くJR線の駅の階段を上がったところに、大きな大きなポスターが貼ってあったからだ。
レイクルイーズの前に立ってみて、『ああ、あの駅のポスターの通りだ!同じ角度、同じ場所、あの花車が置いてある場所も同じだ!!カナダのレイクルイーズに来たのだ!!』

3464メートルのビクトリア山。その中腹にはビクトリア氷河が見える。そう写真でよく見る真正面に見える氷河だ。
行った日は残念ながら氷河の半分しか見えず、その上は雲に隠れていたので、有名なビクトリア山の山小屋も見えなかった。
そのビクトリア氷河から流れ込む水で、今まで見てきた氷河湖と同じように水の色が微妙に変わっていく。やはり、春先と夏では水の色が違い、朝と夕方でも太陽の角度によって色は違ってくるらしい。


「カナディアンロッキーの宝石」と称えられ、観光客も一番訪れると言うレイクルイーズ。
ただ、私たちが行ったのは8月。そしてもう午後の3時も過ぎようかという時刻。
8月の氷河湖は石灰分のロックフラワーを多く溶かし込み、今まで見てきた湖の中でもこのレイクルイーズが一番白濁していて乳白色に近い色になっていた。
だから、駐車場から湖畔に出たとき、「ヘッ!?」と思ったぐらいだ。
午後の気だるさも手伝ってか、白濁がより強くなっているようにも感じた。このレイクルイーズの一番綺麗に見えるのは、午前中で、見る人の後ろから朝日が差し込む時間なんだそうだ。

そしてもう一つの減点は、有名な観光地の例にもれず、たくさんの観光客でいっぱいだったということ。
それこそ世界各地から来ているのか、いろんな国の言葉が飛び交っていた。
この一番のビューポイントで自分たちだけで記念撮影をしようと思うのは贅沢な考えだったのか…。
画面に何人もの人が入ってしまうのだ。
少し場所をずらして撮っても、それでも数人が私と一緒に写ってしまうぐらい、観光客で混雑していた。

レイクルイーズは、そんなな悪条件の上に、氷河湖としては四つ目であったこともあってか、ペイトーレイクやボウレイクのときほどの感動はなかった。
なぜなら、湖の色が乳白色に近く濁っているようにも見え、午後のけだるさ、人ごみの観光地という悪条件が重なったから。
これが逆コースだったら全然違っただろうに。
しかし、さすがに周りの景色との調和はすばらしく、写真としての構図は一番で、日本に帰って写真を整理し、年賀状の写真にと選んだのは、やはりこのレイクルイーズの写真だった。

湖と反対側を見ると、そこにはこれまた有名なホテル、シャトーレイクルイーズが建っていた。
ホテル前の庭は素晴らしく綺麗に手入れされ、色とりどりの花々が咲き乱れていた。
ホテルをバックにしてまた記念撮影。
こんなホテルに泊まって、早朝に湖畔を散策したらどんなに素敵だろうな…。