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カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアン・ロッキー(2

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19、ボウ・レイク



次に訪れたのは、アイス・フィールド・パーク・ウエイで三つ目の湖ボウ・レイクだ。
この湖は標高1950メートルのところにあって、このパーク・ウエイでは標高の一番高いところにある湖だそうだ。
だから、全面凍るのも一番早く、氷が全部融けるのはこの辺りで一番遅くなる。全部融け切るまでには、昼間氷が融けて、夜はまた氷るということを何度も繰り返すらしい。
全部融け切るのは6月中旬か下旬になる。それからボウ・レイクの短い夏が始まるのだ。

ボウ・レイクはペイトトー・レイクと違って、湖畔に立つことができ、立って眺めた景色はまた一段とすばらしかった。
広々とした湖面。目の前がず〜と開けていて明るい。ゆったりとした湖畔には散策路やトレイルのコースもあるようだ。

駐車場から湖畔に出てみると、湖の対岸の山の上には、これから向かうクロウフット氷河が臨め、眼の前にそびえるクロウフット山は氷河に削り取られた斜面のなだらかな曲線が美しい。
そして、少し後ろを振り返った山の頂上には、このボウ・レイクにその融けた水を送り込んでいるボウ氷河が見える。
よーく見るとその氷河から流れ出している筋が見えるのだ。
あんなに向こうの、あんなに高いところからここまで流れてきているのだなあ。

そして、このボウレイクはボウ川の源流となってこれから行くバンフの町からカルガリーを流れハドソン湾までの長い長い旅をするのだ。
ボウ氷河・ボウレイク・ボウサミット・ボウ川…、わかりやすい名前が付いているが、ボウとは弓矢の弓という意味で、先住民がこの辺りの木で弓を作っていたことからこの名前が付いたらしい。

また、湖のすぐそばには絵本に出てくるような赤い屋根のロッジが見える。
氷河の白、ボウ・レイクを抱く山々の緑、ボウレイクの青(エメラルドグリーン)、ロッジの赤、それぞれの色が調和し合ってとてもいい雰囲気を醸し出している。

山本さんが面白い話をしてくれた。
この赤いロッジはナムタジャロッジといい、宿泊もできる山小屋で、元山岳ガイドをしていたジミー・シンプソンと言う人がこの地がとても気に入って1920年に住み着いたと言う。
国立公園の中に私有地があるというのも面白い。
赤い屋根にしたのは、登山者が吹雪に遭っても迷わないように目印にするためらしく、オーナーの元ガイドとしての配慮だろう。

食事もできるロッジとあって、観光客も多くなってきたそうだが、みやげ物も買わず、ただトイレを使うだけの人も多くなってきたらしい。
それをオーナーはとても嫌がったので、国は駐車場の近くにトイレを作った。しかし、綺麗な湖水の中に人間の排泄物が流込むのを良しとせず、環境団体の申し入れで、せっかく作った水洗式のトイレを汲み取り式にわざわざ変えたと言うのだ。
環境を守ろうとするとても素敵な話だと思う。

しかし、私有地であるナムタジャロッジはそのまま水洗式を続けているということだ。
なんだか変。

トイレと言えば、私もこのロッジのトイレを借りた。
そのトイレの前に何とヒグマの剥製が置いてあったのだ。台の上に乗せてあったからとてつもなく大きく見え、しかも爪が鋭いのだ。
中指の爪だけで私の指よりも長いぐらいで、鋭くとがっている。そんな爪でひと掻きされたら、深い傷を負ってしまう。

面白いことに、そのヒグマの足元に、「DON'T  SIT」と大きく書いてあった。
その足元に座って記念写真でも撮る人がいたのだろうか。
不安定な足元だから、そこに座ると、ひょっとしたら、ヒグマが覆いかぶさってくるかも知れない…オオ、コワッ!!