小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアン・ロッキー(2

INDEX|15ページ/28ページ|

次のページ前のページ
 

18、ペイトー湖



レイク・ルイーズと並び、カナディアンロッキーを紹介するガイドブックには必ず登場する湖、それがぺイトー湖だ。
展望台から眺めるペイトー湖はまさに写真の通りだった。
この湖の色を何と表現すればいいのだろうか。自然の水の色でこんな色は見たことがない。
ブルーではない。よく言われるエメラルド・グリーンでもない。
ターコイズ・ブルー…これが一番ぴったりかも。

しかも水深がかなりあるからか、湖面のどの部分も同じ色なのだ。今まで見てきた湖は水深によって色が違ってきていたのに。
高い山の山裾の、深い針葉樹林に囲まれたところにある湖だった。
眼下に広がる湖はその色の神秘さとともに人を寄せ付けない崇高さを感じさせた。

もう一つ、ほかの氷河湖と違うのは湖水の近くまで行けないことだ。どんな観光客も狭い展望台からしか眺められないのだ。
(後で、湖畔まで行くトレッキングコースがあるとわかったが、展望台に行くまでにもかなりの坂道を歩いてきたから、このコースは相当の坂と時間を考えないといけないだろう。)

私たちが展望台についてすぐ、美月たち観光バス組もやってきた。狭い展望台ではゆっくり眺められない。次々交代だ。
美月が来たのを見つけて山本さんが、
「さ、3人並んでください。撮りますよ」
と、少し上の方からペイトー湖をバックに記念撮影。美月を入れて3人で撮った写真はこれ1枚だけだった。
写真嫌いの美月と一緒に撮れたのは山本さんのおかげだった。

記念撮影の後、しばらく湖を眺めていた。
湖の色も印象深いが、この湖をお腹に抱えた山の姿も印象深い。
森林限界線から上の岩肌は褶曲線が幾重にもはっきりと見えた。
その山と後ろの山にもその褶曲線がつながっているように見える。自然の不思議だった。
その線は左の氷河が融けて流れ出しているところから、ちょうど15度ぐらいの角度で山が盛り上がったようになっていた。

ペイトー湖の青く輝く独特の水の色は夏と冬でも違い、1日の中でも違ってるということで有名だ。それは太陽光線の角度が違ってくるかららしい。
氷河が融けて流れるときに削り取ってきた泥(ロック・フラワー)が湖に溶け、底に沈みこまないで水の中を浮遊しているそうだ。
そのロック・フラワーに太陽光線が反射したときに色が変わるのだ。
ロックフラワーが多ければ多いほどミルクを混ぜたように白濁するという。

湖の左端には、ちょうど氷河から流れ込んできている幾筋かの水がチョロチョロと流れ込んでいる。
その境目が白い筋となって見えている。青い絵の具を溶かした水の中にミルクを溶かし込んでいるように見えるのだ。

カナディアンロッキーの山々は石灰岩でできている山が多いそうだ。そうか、ロックフラワーって石灰成分を含んでいるんだ。
ただ白濁するだけじゃなくて、そこに太陽の光が当たって、あんなに綺麗な色になるのだ。
すばらしい自然の営みを見せてもらった。

春先のまだ雪が融けた直後は、山の氷河がまだ融けて流れ込んできていないので、色はまた夏とは違うのだそうだ。
そのときの色も見てみたいなあ。

湖の右の方向に目をやれば、深い針葉樹林の森の中に何箇所か沼地のように小さな水面が見える。さらにその奥、氷河が削り取ったなだらかなU字谷のはるか彼方にまで、このペイトー湖の水が流れている。
標高2000メートルを超えるこの展望台から眺めるその景色は壮大だった。
湖の色と景色を目に焼き付けて、私たちは車に戻った。

途中の坂道には白や黄色の高山植物の花が綺麗に咲いていた。それらにカメラを向けていると、
「美也さん、美也さん、ほらリスだよ!」
と、姉の叫ぶ声が聞こえた。
「あ〜ほんまや!!いたいた!!リスや!!」
かわいいリスが1匹だけチョロチョロと走っていた。そのリスを追いかけて、カメラを向けたが、すばしっこいすばしっこい。
とうとうその姿を写す前にどこかへ隠れてしまった。あ〜あ、またしても失敗^^;