カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアン・ロッキー(2
行き止まりになっている氷原の端から雪解け水がチョロチョロと流れてきていた。
雪から融けたばかりの水だから冷たい!!
「この水、飲めますよ。400年前の雪が融けた水です」
と、山本さん。
そのあたりの氷河が融けた水かと思ったら、高いところにある氷河がから融けて流れてきているようだ。
リュックに入っていたペットボトルに水を入れようと、思い切り手を伸ばしている私に、山本さんは反対の手をしっかり握ってくれた。すべって転ばないようにとの心遣いが嬉しかった。
こんなおばさんにもやさしくエスコートしてくれた。感激!
「冷たい!!」
さすがに氷が融けた水だ、すぐに手が凍えそうになった。
少し飲んでみた。
「美味しい!!^0^」
冷たくてキューンと喉を通り、胃に収まるのが分かるぐらいだった。
400年前の水を持って帰って母にも飲ませてあげたかった。
「持って帰れますか?」
「ホテルへはもって帰れます。でも、この水は生ですから、今日中に飲みきってくださいね」
残念ながら、この水は日本までは持って帰れなかった。
「さっきバスに乗り込んだでしょう?あのセンターにあるおみやげ物売り場の自動販売機で確か売っていると思いますよ」
と教えてくれた。
「わあ〜、ホンマですか!?良かった!!絶対買うわ」
ラッキー!これで母にも飲ませてあげられる。
400年前の水を飲むと400年長生きできるかなぁ。
安心した私は、氷河を前に姉と記念撮影。
姉とは一緒に写したくないとバンクーバーで思ったのに、、山本さんが、親切に写してくれるというので仕方なく並んで撮った。
その写真を見ると、寒そうだけど、二人ともうれしそうに写っている。
その背景に写っているアサカバス氷河は、氷河といっても滑らかな雪ではなくて、ゴツゴツとした雪の塊がでこぼこと並んでいる。
はるか向こう、山の頂上までずっと。まさしく河の流れのようだ。
山だから、小さなアップダウンもある。
はるか遠くに見える山の頂はさっきも見たような厚さ50メートル以上もありそうな厚い氷の層がのっかている。
逆に下を見れば、急斜面、一面氷だ。
そばに見える融けた後の岩肌は、かつて登ったことのある立山の雄山の頂上のようにゴツゴツした石がゴロゴロと転がっている斜面だった。
氷原だけど決して平らではなく、山全体が氷河になっているといった感じだ。
この雪解け水は400年前の雪だけど、この足元のもっと下には氷河期から融けずに残っている氷が静かに横たわってるのだと思うと、感慨深かった。
そんなことを考えながら、回りを眺めていると、寒さが応えてきた。
セーターにヤッケは着ているけれど、曇り空の氷の上は、さすがに寒く風も冷たかった。
我慢できなくなってきたので、雪上車と一緒に記念撮影をしてから、車の中に入った。
「もういいんですか?まだ時間ありますよ」
「寒くって、寒くって…。もう中に入りまーす」
帰りのバスでもドライバーの女性はずっとしゃべり通しだった。バイタリティ溢れる女性だ!!
雪上車から観光バスに乗り換えるステーションで、またまた美月にであった。
「やあ!またあったね」
と入れ違いに美月はあの派手な雪上車に乗っていった。
作品名:カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアン・ロッキー(2 作家名:ねむり姫