詩集 『サナギ』
「風と月と夢」
突き刺すような太陽は弱って 枯れ葉の匂いがする秋が顔を覗かせる
涼しくなった夜の風が「もう夏は終わるのよ」と 耳元でささやく
いつの間にか 君の声が消えて
街の色は 蒼に変わった
来年もまたここで逢いましょうと
伝うわけのない 声を放った
夜に舞う風と夢が 夏の終わりを告げる
冷たいラムネを喉に流して 一曲歌いましょう さみしくなる前に
白雲遠くへ 流れて 君のもとへ ずっと大好きだった ひまわりのような君
いつの日にか僕の声も消えて
街の色は変わっていくのでしょう
少しさみしくなった夏の終わり
僕は何も言わずに 目を閉じる
春夏秋冬いろんな顔が 笑っている夢を見る
この先も 僕は何かを守って 愛して失って また愛していくのかな?
真夏の一恋は あの花火のように 綺麗に頭上で咲いては 夜空の一部になった
いつの間にか 君の声も薄れて
街の木々は 蒼に変わった
来年もまたここで逢いましょうと
伝うわけのない 声を放った
夜を包む月と夢が 秋の始まりを告げる