詩集 『サナギ』
「月明かり」
とても綺麗な月が出ていた7月24日
黄色い月明かりが僕の胸を締め付けた
外の暑さも忘れて見とれていたあの月に
「空の君も見ているかな?」返事のない質問
頭に響いた・・・
かなしみの風が吹く 夏の夜の闇の中
僕もかなしくなるけど なぜか暖かくて
夜空にひとつ明るい穴が開く
そこからあの日の君が出てきたりしないかな
月明かりの中 そんな夢を見た
さびしげな空を慰めるように一生懸命に光る月
地上では外灯にたくさんの思いが集まっていた
迷いの虫が羽ばたく 夏の夜の闇の中
僕の想いも虫になって あの月へと向かおうとしていた
かなしくて泣き崩れて
涙で散らかった部屋にやさしげな月明かりが
静かに差し込む
いつでも逢えたあの頃には戻れないよね
思い出にしたくはないけれど
進むためには終わらせないといけないから
忘れなきゃな あの日の君の笑顔を
「忘れられるわけないだろ」と
月へなげかけた
君への想いは月明かりになった