詩集 『サナギ』
「半月」
もともと欠けてた月 二度と満月にならない
「かなしい?」って誰かが聞く もともとだから平気だよ
叶わない願い事も いつの間にか半分だけ
忘れて薄れていく 残り半分も忘れていった
あの子の恋も 一方的に浮かれていた感情も
半月のように 欠けていたんだ
気づかないうちに失くして
すぐに忘れる
誰かが言う 「諦めてちゃ何も始まらないよ」
諦めてるわけじゃない
最初から 半分無かったんだ
そういうもの
半月 僕に教えてよ
誰かを愛する 守るということを
僕は半分影だから
二度と誰も愛せないの
君に僕は見えないの