詩集 『サナギ』
「満月」
紺色の空に黄色い記憶一つ 浮かべて見ていたら
あなたが「月が綺麗ね」と言った
失くした記憶 半分影の体も あなたには見えていて
僕に生きる証をくれた
無理やり箱に押し込めた いろんな思いが暴れだして
全て 総て蘇る 失くしたはずの半分さえも
愛され 愛されていたんだね
勝手に一人だと閉じこもり
あなたの優しさも黒く染めて
知らないふりをして 傷つけていたんだね
誰でも 誰かと繋がって生きて
知らぬうちに誰かと繋がっていて
でも結局 人はひとりぼっちだから 誰かに触れていたい
少なくとも僕はそうだ