詩集 『サナギ』
「記憶のプール」
今日も何の問題もなく動く心臓は
命を刻む それを僕は感じない
知らないところで 世界は動き続けてるんだ
何かをなくしてから 気づく大切さを
どこか記憶に留められたら
もっと大切に もっと真剣に
生きること考えて 答えを出せるのかな
急に喉が詰まって 呼吸が苦しくて
あわてて水を喉に流し込んだ
あなたがさっき感じたその苦しみを忘れないで下さい
生きている心地を感じながら死にたい
痛みを伴ってもこの世界にいたことを感じたい
もしも あの虹が 永遠に輝いていたら
綺麗とは感じないのでしょう
消えないものに興味など無いのでしょう
終わりの定めを背負って
儚く残酷な僕ら人は生きていく
大切な人の命が目の前で消えて
初めて 死ぬことに恐怖を覚えるんだ
あなた感じたその恐怖を永遠に忘れないで下さい
最初から壊れると
知っていたら僕らは
それを大切に扱うのかな
今を大切にできる感情は
どうやって生まれるの
どうやったら忘れないの
教えてよ
誰だって死ぬことは怖いもの
僕も君も薄々気づいている
いつか感じたたくさんの恐怖を
僕はいつまでも忘れたくないな
今を大切にできる感情を
記憶のプールに...