【第八回・伍】天体観測っぽく
「ひとついいこと教えちゃるよ…緊那羅」
阿修羅が言うと緊那羅が少し目の赤くなった顔を上げた
「ほうき星は願い星ってな」
阿修羅が夜空を指差して笑った
「ほうき…?」
緊那羅が鼻をズッと啜って夜空を見上げる
「たまになこう…尾っぽを引いた星が出るんよ」
阿修羅が指を斜め下にやりながら言った
「それが消える前に三回願い事繰り返して言うとな…叶うんよ」
阿修羅が三本指を立てた
「本当なんだっちゃ?」
緊那羅が阿修羅を見て聞く
「さぁなぁ…オライも言った事ないし…」
阿修羅がハッハと笑いながら答えた
「何なに? 流れ星の話?」
南が話しに入って来た
「流れ星?」
緊那羅が聞き返す
「いろんな呼ばれ方してんよな。ほうき星、願い星、流れ星…シューテンスター (ネイティブ)とかな」
阿修羅が言う
「しゅー…?;」
緊那羅が阿修羅が最後に言った言葉をどもりながらも言おうとしている
「でもみんな一緒なんだよね」
南が言った
「お星様にお願いかぁ…俺も小さい頃よくやったよ~」
南が懐かしそうに言う
「ちいっこいのは今でもちっこいぞ~ぃ」
阿修羅が南の頭をポフポフ叩きながら言った
「ひっど~…;」
南がジト目で阿修羅を見る
「南…その願い事は叶ったんだっちゃ?」
緊那羅が南に聞いた
「え? …ああ…叶ったよ? しっかりバッチリ」
南が阿修羅の手を払いながら答えた
「本当に叶ったんか?」
阿修羅が半分驚きながら南に聞く
「嘘ついてどーすんのさ;…叶ったってんじゃん」
南が呆れた様な笑顔で見た先には今だふざけあっている京助、中島、坂田の姿
作品名:【第八回・伍】天体観測っぽく 作家名:島原あゆむ