カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアンロッキー~(1
ジャスパーで列車から降りた。
降りるときもやはり踏み台が置いてあった。
ここがホームだと区別しているものはなく、レール横にあるレールと同じ高さのコンクリートの普通の道を歩いて、はるか向こうに見える建物の方に向かった。
ここに長~いホームを作るのは相当のお金が掛かるだろうし、上り下りで、1日2回しか使わないなら、無駄のように思うので、ホームはなくて正解かもしれない。
改札は一体どこなんだろう?
歩けど歩けど駅舎は見えてこない。
柵の向こうには観光バスが停まっている駐車場らしきものが見えるが、駅舎は見えなかった。
たった今、降りたばかりの列車に連結された車両が何台も何台も後ろの方にずーっと繋がっていた。
『このなが~い列車に乗ってきたんだなあ~』
私たちは、みんなが歩く方向にとにかく歩いた。
しばらく行くと、緑の屋根の下に「JASPER]と書いた看板がぶら下がっていた。
ああ、これが駅舎なんだ!
綺麗で可愛い建物だった。
早くジャスパーの街に出たいけれど、荷物が…。
荷物が出てくるのを待った。……待った。……随分待った。
待っている間に、さっき見た看板のところまで行って写真を撮った。
その向こうは普通に道路があって、お店も並んでいるし、車も走っていた。トーテムポールも立っていた。
改札をしなくても、このまま出て街中に入って行けるんだ。
???改札口はどこ?
荷物が台車に乗せられてやっと運ばれて来た。
バンクーバーでロストバケージに遭ってしまった私は、今度は注意深く自分の荷物を探した。
あった、あった!!
明るいエンジ色のスーツケースはすぐに見つかった!!
「ここにいるよ」
と言ってるように目立っていた。
あ~良かった!
美月のもすぐに見つかった。
ところが、姉のスーツケースがない…!?
またか…と一瞬、嫌な予感がした…。
最後の最後にやっと台車から降ろされた。ホッとした。
嫌な予感が外れてホントに良かった。
飛行機のようにベルトコンベアではなく、VIA鉄道は荷車の平たい荷台の上に無造作に荷物を積み上げて、先頭車両の方から運ばれてきたのだった。
その台車で荷物を運んできてくれた3人は、3人とも女性だったのにはビックリした!
若い女性や私よりも年配ではないだろうかと思われる白髪の女性もいた。
ネクタイをきりりと締めた制服姿でテキパキ動く姿は、かっこよかった。
旅行者の荷物がタップリ入った大きくて重いスーツケースやボストンバックやデイバックをその台車から降ろし、私たちのいるところまで抱えて運んで並べてくれたのだった。
カナダの女性は逞しい!!ステキな働く女性だった。
作品名:カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアンロッキー~(1 作家名:ねむり姫