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カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアンロッキー~(1

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カムループスを出発してしばらくして、私たちは食堂車に行った。ところが、ちょうど朝食の時間帯で満席だった。
そこで隣の車両でしばらく待つことになった。満席の時のために待つための車両も用意してあるのだ。さすが、長距離列車。
程なくして、ウエイターさんが、
「どうぞ」
と迎えに来てくれた。
案内された席は相席だった。一人で窓際に座っていたのは、トロントに帰るという70歳ぐらいのおじいさん。
テーブルはホテル並みのセッティングをしてあったので、ちょっと緊張した。しかし、ユーモアたっぷりのウエイターさんに和み、緊張も緩んだ。

私たちはそれぞれ好みの定食を注文した。
私の頼んだ定食は、スクランブルエッグとウインナー、ポテトそれにフルーツはオレンジとメロンそしてトーストにコーヒーだ。
姉はオムレツとベーコン、あとは同じ。美月はブルーベリー入りのホットケーキと紅茶だ。それぞれ少しずつ交換して味見をしてみた。

それぞれに美味しかったのだが、やはりブルーベリーの国カナダ。美月の注文したのが一番美味しかった。
テーブルには、トーストにつけるためのジャムの小瓶が並んでいた。メープルシロップ、ベリーのジャム、ピーナツバター、マーマレード、たくさんあった。
旅の恥は掻き捨てとばかりに、私たちはおばさんよろしく全部試食してみた。

美味しかった!


食事をしながら、相席となったおじいさんと話をした。こういうのも旅ならではのものなんだろうね。
もちろん、私には話の内容は断片的にしかわからないのだが、美月は詳しい通訳もしないで、どんどん喋っていく。
私たちといるときは無口な美月なのに、他人には愛想よく喋って親しくなっていく娘だ。

美月が学生の頃、語学の勉強になるからと、ホテルやデパートのインフォメーションやレセプションのコンパニオンなど、主に外国の旅行者のためのガイドのバイトをしていた。
だからだろうか、見ず知らずの人にも話しかけていくサービス精神旺盛な娘だ。
そのおじいさん、一人でどことなく寂しそうにしていたからかもしれない。

和やかに話している途中、列車の窓から、山火事が見えた。白い煙が上がっている。
「ああ、あれは多分自然発火だね」
「自然発火?!」
山も自然発火するらしい。枯れ葉が風でこすれあいその摩擦で発火するのだという。
あまりにも広大なため消火活動はせず、これ以上広がってはいけないところは、木を帯状に切り倒して、延焼を防ぐのだそうだ。
自然発火も成長しすぎた樹木が焼け落ちることで、新しい木々が誕生するという自然の営みの一つだということをそのおじいさんは教えてくれた。

おじいさんとの話の途中に、後方から関西弁で喋ってる声が聞こえてきていた。振り返ると、息子さんが、両親になにやら案内しているようだった。
日本語、特に身近な大阪弁を異国で聞くと何だかホッとするものだ。