カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアンロッキー~(1
姉が、
「美月がジャスパーからバンフまでどうやって行くか聞いてきたんやけど、どの方法で行く?」
と聞いてきた。
「どんな方法があるん?」
「バスかレンタカーか鉄道」
「わかった。じゃ、調べてみてまた連絡するわ」
「ロッキーの自然を楽しむために時間に余裕があるレンタカーにしいひんか?」
「バスは?」
「バスは停車時間が殆どないから、窓から景色を眺めるだけじゃないかなあ」
「レンタカーってどれぐらいするん?」
「1日100ドルぐらいやって」
「ジャスパーからレイクルイーズは250キロ、約3時間。そこからバンフまで50キロ、バンフからカルガリーまで2時間」
山と湖と自然を楽しむならレンタカーの方がいいかなぁ。この頃は、信州をドライブするような感覚で考えていた。
でも待てよ。
カナダは左ハンドル!
標識はすべて英語かフランス語。日本とは違う交通標識だよな、きっと。
山のドライブ?
ヘヤピンカーブがあって、細い山道のすぐ右は切り立った崖?!
このときの私の頭の中は、野麦峠へドライブしたときのあの熊笹に覆われた、これが道!?というような細い道を思い浮かべた。
右下はガードレールもない崖。
昨年カーナビを頼って行った京都・福知山から兵庫・出石へ抜ける山道。
ナビを頼ったためにとんでもない山道に誘導され、崖から落ちないかと、ハンドル握る手のひらは汗でびっしょりだった!
こんなことがぐるぐる頭の中を回りだし、私はバスの方に傾いていた。
レンタカーは、時間は自由だし停まるところも自由になるけれど、観光地から観光地へ行くだけだったらまだしも、街中では表示がとっさに読めないと思うからきっと右・左を戸惑ってしまうと思う。
ホテルのある市街に着いてからのことも考えた。
怖いと思うこともたくさんあるだろう。
石橋叩いて渡る私は、
「やっぱり、バスにしようよ」
と、今まで考えていたことを伝えた。
しかし、現地に行ってみるといろいろマイナス面を考えていた私の想像は全く外れていた。
カナディアンロッキーには素晴らしいドライブウェイが完成していたのだ。しかも料金のいらない高速道路が。
崖下に落ちそうな道なんてなかった^^;
ホテルのある街も道路は単純。車もそんなに走っていなかった^^;
標識さえ瞬時に判断できれば、レンタカーでも十分だと、行ってみてそう思った。
結局、レンタカーは乗り捨て料金がかかり、その他ガソリン代などの諸費用を考えて一人分を計算したら、バスツアーにするのと殆ど変わらないとの美月からの返事に、それならバスにしようよと話は決まって、一件落着。ほっと安心。
「バスツアーは日本語にする?英語にする?と美月が聞いてるんやけど…」
と姉。
「え~、そんなん、英語やったらガイドをしてくれても、何言ってるかわからへんやん。 バスにする意味ないやん!!」
「美月は節約したいから、少しでも安い英語ツアーにするんやって。わたしたち二人にな るけど、それでもいい?」
「え~、美月ちゃん、一緒に乗らへんのん?不安やわ~。でも、美月ちゃんもおばさん二 人とずーっと一緒やったら嫌やろな。それ考えたら仕方ないか…」
「でも、うまくバンフで出会えるん?」
「行くところは、英語ツアーも日本語ツアーも大体同じやから大丈夫やねんて」
「じゃ、日本語ツアーにしよう。」
と、若干の不安を抱えつつも、カナディアンロッキーの行程がやっと決まった。
こんなことを思い出しているうちに、改札が始まった。いよいよ列車に乗れる!
作品名:カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアンロッキー~(1 作家名:ねむり姫