カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアンロッキー~(1
そのフェンスのすぐ前に、変わった石造りのモニュメントがあり、銅版には言葉が刻まれていた。そこには、「KOREAN WAR 1950~1953」と書いてあった。
朝鮮戦争で亡くなった方たちの慰霊碑のようだ。
小さい字で、「自由・平等・平和のために殉じた方たちの霊を慰める。」という意味のことが書いてあった。
カナダも国連軍に兵隊を送り、遠く朝鮮半島で犠牲になったのか。アメリカ軍だけだと思っていた。
カナダのこんな山の中の小さな町からも兵隊を出して犠牲になっていたとは知らなかった。
周りに目を遣りながらゆっくり歩いた。
やっと、お店が建ち並ぶ繁華街に着いた。
「30分て言ってたのに、1時間もかかったやん!ジャスパーの30分は1時間のことなんや!」
などと、悪口を言っていたのに…。もうこのときは、もうすぐお店に入れる嬉しさと、珍しさで、1時間も歩いたしんどさはすっかり忘れていた。人間の気持ちなんてそんなものかもしれない…。
狭い街に観光客があふれ、お店もいっぱいだった。こんな山の中の小さな町にも日本食のレストランはあった。
でも、せっかくカナダまで来たんだからカナダの料理が食べたかった。どこも満席だったので、少し高級そうなレストランに入った。
レストランでは、アルバーター牛のステーキと、この際だからと赤ワインのボトルを注文した。
ステーキはさすがカナダの自慢、アルバーター牛!網目がしっかりと付き、柔らかくて美味しいステーキだった。
ワインもバッチリ!
殆ど飲まない美月をよそに、姉と二人でボトルを空け、とっても満たされた夕食だった。
お腹も満腹になったので、ブラブラ歩いた。
そうだ、朝のパンと夜のビールを買わなくっちゃとコンビニのようなところに入った。
ところが、ここにはビールはなし。
そう、カナダではお酒は酒屋さんだけなんやったと思い出した。
酒屋さんは、そのコンビニのすぐ近くにあった。
酒屋なのにカウンターがあるのみ。お酒のビンが見当たらない…???
「あれ~?!酒屋さんやのに、お酒がないやん!!」
と言ってキョロキョロしていると、美月はスタスタと奥の方に進んで行く。
突き当たりの扉を開けると、ヒヤ~っと冷たい空気が顔を撫でた。
そこは何と、部屋丸ごと冷蔵庫になっていて、ビールも箱のケースに入ったまま冷やされていた。
部屋の温度はかなり低く設定してあるようで、真夏なのに寒くて寒くて、まるで冷凍庫に入っているようだった。
どれでもいいからと、6本入りを1ケースを手に持って早々に部屋を出た。部屋中冷蔵庫の中に体ごと入るのは、これまた初めての体験だった。
カウンターで支払いを済ませて外に出た。時間は8時過ぎ。なのにまだまだ薄明るかった。
作品名:カナダの自然に魅せられて ~憧れのカナディアンロッキー~(1 作家名:ねむり姫