ある飛行機の生涯
敵の戦闘機さんたちも数機だけやって来た。不思議なことに、そ
の敵機さんたちも、プロペラ式だった……。
「よくもやってくれたな!!!」
敵機さんたちが叫んだ。悲痛な叫びだった……。
護衛機さんたちと敵機さんたちの間で、ドッグファイトが繰り広
げられた。数が多いこちらが優勢で、次々と敵機さんが墜落してい
った。
ぼくたちは、それをじっと見ていた。もう爆弾を落とし終わった
ので、後は帰るだけだった。
「くらえ!!!」
突然、すぐ近くで敵機さんの叫びが聞こえた……。
バキィ!!!!!!
次の瞬間、尾翼に強烈な痛みを感じた……。ぼくは痛みをこらえ
ながら、尾翼を見た。
尾翼がボロボロになっていた……。その尾翼のすぐ後ろには、バ
ラバラになった敵機さんの姿があった……。あの敵機さんは、自分
の身を犠牲にして、ぼくに攻撃を喰らわせたのだった……。あれが、
カミカゼというやつなのだろうか?
尾翼を破壊されたぼくは、たちまち、地面へと落ちていった……。
もうダメかとぼくは思った。ぼくと同じ航空会社に昔いたジャンボ
ジェット機さんも、尾翼が壊れて墜落した。ぼくも同じ運命をたど
るのだと……。パイロットさんも何か叫んでいた。
バシャーーー!!!
目の前に水しぶきが激しく舞った……。