ある飛行機の生涯
命中したかどうかを、ぼくは後ろを見た。爆弾が落ちた場所には、
炎を黒煙が上がっていた。その場所をよく見た途端、ぼくはショッ
クを受けた。
その場所は司令部なんかではなく、小学校だった……。
子供たちが火だるまになりながら、校舎から出てきた……。燃え
ながらダンスのように踊った後、バタバタと倒れた……。金的キッ
クを喰らったかのようにのたうちまわっている上半身だけの子供も
いた……。そして、所有者不明の臓物が、洗濯物のように鉄棒やジャ
ングルジムなどの遊具に引っかかっていた……。
ぼくが爆弾投下のスイッチを押したわけではないが、とんでもな
い誤爆をしてしまったと思った……。そして、この誤爆をパイロッ
トはどう思っているかを確かめた。しかし、そのパイロットの様子
を見て、ぼくはさらにショックを受けた……。
パイロットは嬉しそうに報告をしていた……。ピンポイント爆撃
なんかではなく、無差別爆撃だった……。
他の2機の飛行機さんからも次々と爆弾が投下され、1機の爆弾
は、スーパーマーケットを1つぶっ飛ばした……。買い物客が、ダ
イナミックに店の外へと飛び出した……。次の御来店は無いだろう
……。
もう1機の爆弾は、住宅街を1ブロック消滅させた……。運良く
助かった犬がキャンキャンと鳴きながら、変わり果てた主人に寄り
そっていた……。
ぼくのハッチからまた爆弾が投下された。まだ残っていた爆弾を
投下し始めたのだ。また、爆音が鳴り響いた……。
「すごいな、あんたたち!!!」
護衛機さんがそう言った。ぼくはもうなるようになれと思っていた
……。
ボン!!! ボン!!! ボン!!!
そのとき、下から爆音が鳴り響いてきた。ぼくの爆弾によるもの
ではなく、敵の高射砲によるものだった。ぼくたちを撃ち落とそう
としているのだ。
しかし、その高射砲の攻撃は、スピードが速いぼくたちには全然
追いついていなかった……。それでもまずいと思ったのか、ぼくた
ちの護衛機さんたちが、その高射砲を機銃掃射で破壊してくれた。