悲雨
時計は午後2時を回っていた。
たまたま画面をみるとテレビのニュースはバス事故のことだった。
そういえば夜行バスで行くなんていってたっけと思い出した。電話しようと思ったが夜行バスなのでやめることにした。
ま、大丈夫だろうという根拠ない自身と気味悪さからチャンネルを変え、いつも見ているバラエティ番組に変えた。
サッカーの試合結果がやっていた。日本は勧告に2−1で勝ったらしい。
画面の右上のテロップには「ライバル韓国に勝利!五輪出場へまた一歩!」とありきたりなテロップであった。
ゴールシーンのハイライトではコーナキックからのヘディングとあざやかなスルーパスからのシュートが映っていた。
啓介は学生時代サッカー部だったのですごく関心を持って画面を見つめていた。
しかし、そのコーナーが終わりをつげ、バスケットになると興味がなくなったようにテレビから視線を外した。
そのうち眠りこけてしまった。
電話機の音が聞こえる――
頭痛がする。飲みすぎたかなと気が滅入る。
はっとして時計を見れば午前6時。寝てしまったかとふらふらとした足取りで受話器に手を伸ばした。
「もしもし」
「あ、もしもし○○署のものですが」
啓介はものすごい勢いで家を飛び出した。