短い恋
真夜中の電話
午後九時前に疲れて帰宅した早川は、初めてネットで宅配弁当を注文した。そのあと、黒糖焼酎の水割りを呑みながら会員登録して間もないパソコンサイトのアイコンをクリックした。
「コクトーさんに伝言が一件届いています!」
紅い文字で表示されたメッセージに驚かされた。わくわくしながら開いてみると、それはポニーさんという「マイフレンド」からの、短い伝言だった。彼女はデビューしたばかりのタクシードライバーだった。
「わたしの新着日記を読んでください」
それが伝言だった。早速その日記のページに行き、早川は読み始めた。
「こんばんは。ポニーです。
公休日の今日はバイクでツーリング。
Tシャツの中にカナブンが入ったときは困ったけど、
温泉に入れたので最高でしたー!
実をいうと知ってる温泉があまりないので、
ステキなところ(混浴はパス)を紹介してください。
今日はカナブンだけじゃなく、
羽が生えた吸血鬼にも襲われてしまいましたけど、
お天気も文句なし。
しあわせな一日でした」