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　意外にも、ミラーには悪趣味な紫色の、営業ナンバーの軽自動車が映っていた。それがどんどん迫って来る。危険な車間になったので、早川の右足は床までスロットルペダルを踏み込んだ。累積走行距離が三十九万キロのコンフォートは、坂を上っているように錯覚させる程の緩慢な加速を始めた。狂ったように車体を傾かせ、無謀な車線変更をした軽貨物は、水飛沫を高く舞い挙げながら横を通過して行った。