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短い恋

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明けなかった梅雨



 梅雨明け十日、ということばがあった筈だと早川は思う。それは、梅雨明けから十日くらいは天気が安定して晴れるものだ、ということわざのようなことばである。
 そのことばに反し、梅雨が明けて間もない今日は、午前中から小雨が降っていた。遠い高層ビル群は白っぽく霞み、車道は黒く濡れている。駅前の乗り場まで延々と続くタクシーの列の下は、乾いたままのところが残っていた。
早川はたまにしか動けない空車タクシーの中で、昨日のことを思い出している。
 午後起きてパソコンをONにしてみると、彼が合宿のために出かける土、日の両日に、一泊二日でポニーさんの会社は暑気払い旅行をすることが判った。大型二種免許を持つ彼女は、二日間バスの運転を任されたそうだ。
麗奈と電話で話したのは、夜遅くなってからのことだった。早川はその中で驚くべき事実を報らされた。
 十年前、彼は或るテニススクールの、ジュニアクラスの、コーチのアルバイトをしたことがある。そのときの生徒の中に当時中学生だった麗奈が居たというのだった。
麗奈はコーチの一人に恋をした。初恋だった。そのコーチは、早川学という名前だった。約二十名の生徒の中で、ひどく目立つ一人の美少女。それが弓浜麗奈だった。当時の日記を早川が調べてみると、一度だけ「びっくりちゃん」という、勝手につけた愛称が記されていた。顔が小さくて眼が大きいので、トレーニング中に驚いているような表情に見えることがあったらしい。
作品名:短い恋 作家名:マナーモード