カナダの自然に魅せられて~リスを探して10日間(2)
9、グランビルアイランドへ
いよいよバンクーバーも最終日となった。
しかし、この旅一番の目的としていたものに未だ出会っていないのが心残りでもある。
ガイドブックにも、ブログにも『バンクーバーのあちこち、どこでも出会える』と書いてあった。
だから、期待大でこの旅に臨んだのに…。
美月も言った。
「リス!?そんなんどこにでもいるよ」
ということは、美月だって今までに何度もあちこちで出会っていたんだろう。
そう聞いて、ますます期待は高まっていた。なのに…。
三日目になっているのにまだ1回も出会っていない。
今日の観光の目的地、スタンレーパークに早く行きたかった。早く出会いたかった。
ホテルの窓からも見えるあのうっそうとした針葉樹林の中に広大な公園があるのだ。
その中で、たくさんのリスたちがチョロチョロと走り回っていることだろう。
頭の中は、リス・リス・リス…。
動物園のオリの中でしか出会えないリスたちが、足元を走ってるのを想像しただけで楽しくなってしまう。
ルンルンで、荷物を手早くまとめ、ホテルの玄関で記念撮影。
大きな荷物を引きずりながら、美月のマンションへと向かった。
美月の部屋に荷物を置いて今日1日身軽になって行動するために、真っ直ぐに美月の住むマンションにやってきた。
部屋に着いて、今日の計画を立てた。
美月は、
「まだ私も行ってへんし。グランビルアイランドへ行こう」
「え?スタンレーパークは?」
「その後でも行けるよ…」
「そこはどんなとこなん?」
「市場みたいになってるねん。いろんなものが売ってる。お土産もあるよ」
「じゃ、そこへ行こう」
お土産をまだ十分に買っていない姉はすぐさま賛成した。
私はちょっと不満だったが、今回の旅行は美月に主導権があるからここは仕方なかった。
何せ旅行直前まで忙しかったし、カナダという国の広大さは目的地への距離と時間が全く測れなかった。
だからコースを決める段階で『もう美月にお任せ~』と言ってしまっていたから。
そこで、美月が出かける準備をしている間、慌ててガイドブックを繰ってみた。
グランビルアイランド…
アイランドとは言うけれど、島ではなく、元は工場だったらしい。
倉庫を改造して市場のようにしてあるところで、果物・野菜・その他雑多なものを売っているということだ。
作品名:カナダの自然に魅せられて~リスを探して10日間(2) 作家名:ねむり姫