カナダの自然に魅せられて~リスを探して10日間(2)
座席は二人乗り。
美月は以前、このクラッシックカーに乗せてもらったのだという。
「外を走っていると、みんなが振り返ったよ。何だか恥ずかしいような、すごいでしょって自慢したいような…」
などと、楽しそうに話していた。
船長さんは、
「今年のコンクールは2位だったんだ」
と、壁に飾ってある賞状を指した。
「え~、サーキットで走るの?この車。そんなに速く走れるの!?」
とビックリして聞いた。スポーツカーと聞くと、F1のように速さを競うレースしか知らなかったから。
「そうじゃなくって、どれだけ綺麗に乗ってるかを競うんだって」
と通訳してくれた。
あ~、それでこんなにピカピカに磨いているんだなと思った。
このガレージにはもう一台、これまたピカピカに磨いた赤いミニも置いてあった。
すごいなぁ、クラッシックカーを2台も持ってるなんて…。
帰国してから、自身もかつては自動車部に所属していたという、車が大好きな友人に教えてもらった。
その話にさらに驚いてしまった。
この車のコンクールって言うのは、「コンクール・デレガンス」というジャンルのコンクールなんだそうだ。
~~ 『へえ~、コンクールにもいろんなジャンルがあるんだ。』~~
そして、このコンクールはすっごく厳しい審査があるらしい。ネジ1本もオリジナルじゃなかったら減点なんだって。
~~ 『へえ~、ネジ1本まで、隅から隅まで細かく審査するんだ。』~~
~~ 『あの棚に並んでいた部品は、オリジナルと同時代同規格の部品なんだろう な、きっと。』~~
だから、このコンクールで入賞ってことは、コレクターの仲間の中では鼻高々なんだって。
~~『そうなんや!!それだけすごいものなんだって知らなかったから、私も姉も、 古さという点で普通に驚いただけだったから、船長さん、がっかりしたやろ な。』~~
そういう細かい説明も英語でツーカーと理解できたら、このクラッシックカーについてもっと会話が弾んだろうに…。
それにしても、クラッシクカーっていうものも奥が深いものなんだなぁ。
もっと見ていたかったけれど、ホントはその座席にも座ってみたかったけれど、クロエパパの飛行機の到着時刻に遅れてはいけないので、クラッシックカーとさよならすることにした。
帰りの車中では、疲れたのか私たちはほとんど眠ってしまっていたようだ。
作品名:カナダの自然に魅せられて~リスを探して10日間(2) 作家名:ねむり姫