白の悲劇
彼女の手にすっぽり収まりピンク色の四角い小袋。その中には、同じくピンク色をした幸せの粉が詰まっているのを俺は知っている。ヨーグルトにかけたり、ホットカ○ピスに混ぜたりして味わう、俺に至福を与えてくれるそれの名は。
「ミルメーク いちご味」
「あんた、これが好きだったわよねー。牛乳に混ぜて飲む物だって、知ってた?」
彼女は手際よく封を開け、幸せを運ぶピンクの粉を、悪魔の白濁の中に注いでいく。
「うわあぁ、なんてことを!」
思わず俺は叫んでしまう。
「だいたい、ヨーグルトが大好きで、乳性飲料もいけるクチで、これも温めたら飲めるって言う人間が、どうして学校のビン牛乳は飲めないわけ?それこそ、なんてことよ!」
彼女が言い終えるまでに、ピンクの粉は白濁の液と完全に混ざってしまっていた。
「それでも飲めないって言うなら、ミルメーク代と牛乳に混ぜる手間賃、あとあたしの昼休みを10分つぶした料金、合わせて500円請求する予定だから、よろしく!」
やることやった彼女は、悪魔の笑顔で俺に笑いかけると、機嫌よさそうに手を振って、スキップしながらどこかへ行ってしまった。