白の悲劇
その日の夕方。
下校時間はとっくに過ぎているが、俺はここから出られないでいる。このまま出ることが、俺の腹の死を意味すると分かっているからだ。
結局俺はミルメークの誘惑に負け、ほんのりピンクに染まった白濁液を飲み干したのだった。もちろん、今月の小遣いが危ういのもある。しかしながら、俺の心の支えでもあるミルメークを無駄にすることは、プライドが許さなかった。
普通ホットのほうが腹下すだろうとか、臭いはそんなに悪くないだろうとか、味だってうまいじゃないかとか言われるが、俺はそんなこと知ったこっちゃない。俺は、あのビンに入った牛乳が嫌いなだけだ。
でも……
ミルメークのおかげか、散々ひどい扱いをしていたそれにも、少し抵抗がなくなったのは事実だ。
今度ココア味も試してみよう。と思えたのは進歩と見ていいのだろうか。