不思議な空間
「わたしは峰木聖子です。松田聖子と同じ字です」
左側のやや太めの女性が佐島に云った。やはり、北と同年配ではないかと思われた。
「聖子ちゃんですか。わかりました」と、佐島。
「わたしは、河原由紀です。由紀は理由に二十一世紀です」
やや細めで眼鏡をかけていた。聖子よりは少し若い感じだ。
「生まれは二十世紀ですよ」
聖子が笑いながら云った。
「云われなくてもわかります」
佐島も笑いながら云った。
「明るい感じのひとばかり集まりましたね」
北がそう云うと佐島が、
「北さんも明るくなりましょう」
と云った。
「私は暗いんです。影のある男です。でも、冗談です」
「わたしも、明るいほうじゃないんです。冗談ですけどね」祥子が云って笑った。
「何か感じましたね。」佐島が云った。
「わかりましたか?」と、祥子が笑う。
「バレてましたか」と、北も笑った。
彼の胸はときめいていた。