不思議な空間
ハプニング
「普通、祥子さんのようなひとは忘れないでしょう」
「その若さでアルツハイマー?!」
聖子だった。
「思い出してあげて……」
由紀が云った。
「……ああ、思い出しました!そういえば絵の話をしましたね」
しかし、顔は見なかったと思う。
「思い出してくれたんですね」
だが、祥子は不満顔だった。
「しかし、意外だなぁ。こんなお嬢様が歌舞伎町で夜中まで……」
佐島が呆れ顔で云った。
「絵のグループの人たちに連れて行かれたんです」
祥子は困惑した表情で云った。
「お客様の顔よりも、間違いなく目的地に着くことが、最優先ですからね……」
「北さんは真面目そうだなぁ」
佐島が云った。
「恋愛経験はないでしょ」と、聖子。
「……ないことにしておきます」