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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【第八回・四】ドンブラスココ

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「でも何で阿部ちゃん達俺等が海に来てるってわかったの?」
南が浮き輪の上から阿部に聞いた
「京助のおばさんから水着貸してくれないかって電話あったんだ」
立泳ぎをしながら阿部が答えた
「…へぇ~…そっかサンキュ」
南の浮き輪につかまりながら京助が阿部にお礼を言う
「ラムちゃんの分も一応持ってきてるんだけど泳がないんだね」
阿部が岸のほうを見て言うと京助と南が顔を見合わせた
「水着…?」
「緊那羅が水着…」
京助と南が小さく言う
「…どんなん?」
京助が阿部に聞いた
「え? 普通の…ワンピだよ」
阿部が答える
「トラビキニじゃなかったねぇ」
南がハッハと笑った
「いろんな意味で犯罪だろう;」
京助が口の端をあげて言うと阿部が首をかしげた

「…にか踏んだ;」
制多迦が背中に悠助をぶら下げたまま呟いた
「タカちゃん落ちる~;」
悠助が言うと後ろから慧喜が悠助を抱っこする
「どうしたんですか?制多迦様」
悠助を抱きながら慧喜が制多迦に聞いた
「あ~ウニかな」
坂田が泳いできて言う
「…ニ?;」
制多迦が聞いた
「コレコレ」
そう言うと坂田が息を吸い込んで潜っていった
「…っぷは~…ホレ」
そして何かを手にして浮かんできた
「…れがウニ?;」
坂田の手の上で黒いトゲを動かしているなんとも奇妙な物体を制多迦と慧喜がマジマジと見る
「僕ウニの塩辛好き~」
悠助がウニを見ていった
「俺はやっぱ殻のまんま焼いて食うのがいいナァ…」
坂田が言う
「…べられるの? コレ;」
制多迦がウニを指差して聞いた
「高級食材」
坂田が答える
「美味いの?」
慧喜も聞く
「好き嫌いあるけど…俺は好き」
坂田がウニを海の中に落としながら言った
「ヘンなもの食うんだね」
慧喜が沈み行くウニを見てボソッと言う
「見ためより食い物は食って何ぼだからな俺は」
坂田が笑いながら言った

「何コレ」
矜羯羅が迦楼羅の浮き輪を見て言う
「不思議なものでな…浮かぶのだ」
浮き輪が気に入ったのか迦楼羅がうれしそうに答えた
「どういう原理なんでしょうね…」
濡れてもなお変化ないピョン毛の乾闥婆が浮き輪を撫でながら言う
「楽しいぞ? 乾闥婆もやってみるか?」
迦楼羅が乾闥婆に聞いた
「僕ですか?;」
乾闥婆が目を大きくして自分を指差した
「やってみたら?」
矜羯羅がふっと笑って言う
「…僕は…その…」
乾闥婆が目をそらした
「…いいんですか?」
乾闥婆が少し照れたように上目使いで小さく聞くと迦楼羅と矜羯羅が目を見開いたままぽかんとして止まった
「…なんですかその顔」
乾闥婆がむっとした顔で言うと二人が顔を見合わせたあと乾闥婆を見た
「何なんですか;」
無言のまま見られ続けるのに耐えかねたのか乾闥婆が少し後ろに下がる
「いや…;」
迦楼羅が軽く咳をした
「…僕先に上がりますっ;」
乾闥婆がバシャバシャと水を掻き分けて岸へと向かっていく
「あんな顔…できたんだね」
矜羯羅が呟くと迦楼羅がゆっくり頷いた
「変わって…きたな」
ボソッと迦楼羅が呟いた