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禁断の扉(改訂版)

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小嶋さんも、それに同調するかのように言った。
「そうよね、エリちゃん。1回くらい、校則違反したっていいじゃない、若いんだし~
おしゃれしたいでしょ?縛られることないわ、それとも、校則どおりの味も素っ気もない刈り上げのリーマンヘアがご希望かしら?」
「いや、その・・・でも・・・」
小嶋さんはウルウルとした瞳で僕を見つめると、上目遣いで言った。
「まかせるっていったじゃない・・・」
流石に、それには僕も逆らえなかった。校則違反で罰則くらうのと、彼女を天秤にかけれ
ば、天秤は、どうにも彼女の方に傾くだろう。
「ごめんなさい、全ておまかせします」
それを聞いた途端に、水を得た魚の如く、元気になる小嶋さん。
「そう、よかった~!じゃあ、シャンプー台が空いたから、あちらへどうぞ・・・」

彼女の洗髪(シャンプー)はとても心地良いものだった。指先の”はら”の部分を使い、微
妙な指圧で頭皮をマッサージしてくれる。”もう、身も心も彼女にゆだねてしまいたい”
そんな心境だった。
10分ほどで、気持ちのいいシャンプーが終わると、僕は再びチェアーに着いた。
鏡に映った小嶋さんが、またいい笑顔をくれた。
小嶋さんは、髪に鋏を入れながら流行のヘアスタイルについて語りはじめた。
「ショートのアレンジでくびれショートというのがあってね、テイラーナチュラル
エアーっていうの、流行っているのよ、前髪もふんわりさせることができて、
とってもキュートなの、きっと似合うわ貴方にも」
僕にはなんのことだがさっぱりだけど、キュートって表現が気にかかる、
「別にキュートじゃなくてもいいよ、僕男だし・・・」
小嶋さんは急に鋏を止めた、そして鏡越しに強い視線で、僕をギュっと睨みつけた。
「任せるんだろ!、」強い口調だった、どうにも逆らえないオーラを感じた。
「うん。」 と、僕はまるで幼少の子供のような返事をしてしまった。
「そう、いい子ね、じゃ、まかせてね、大人しくしているのよ、大人しく黙って
静かにこの雑誌でも読んでなさい。いいわね」
鏡越しに見える、少し命令口調の彼女、だけども彼女の落ち着いた言葉の
リズムや、息づかいは、どことなく催眠調で、逆らえない、いや、逆らいたくな
い。言われたとおり、黙って静かに、渡された女性誌を僕は読み始めていた。
先程まで、控えの席で読んでいた雑誌とは違うが、雑誌に載っているのは
相変わらず女性のファッションやメイクの記事ばかり、いい加減飽きてきた僕は
雑誌を伏せて鏡台の前に置いたんだ。
それを見ていた彼女は、雑誌をとって僕に渡すと、「ちゃんと、読むのよ」と
また例の命令口調で言ったんだ。
仕方ないからまた読み始めたら、耳元で彼女は囁くんだ。
「飽きても、同じ記事を何度も読み返すのよ、いい、」
「はい」 と返事した僕の声は、心なしか女性的なトーンだった。
サクサクと、襟足を切り揃える音が、耳元で聞こえてきた。サクサクサクサク・・・
眠たくなってくる、ウトウトしてくる。いくら頑張っても、首が縦に、横に、コックリ 
コックリと振りはじめる。
僕は、襲いくる睡魔に耐え切れず、少し眠ってしまった。
そして奇妙な夢を見た。
自分は、美容室ビューティービューの控え席にいる。控え席は満席で、僕だけが男性
あとは皆女性、、こんな光景、前もあったな、なんて思っていた。僕は女性が、座ったときの、脚を組んで揃えた足ばかりが、気になってしょうがない
自分には、あんなことできないし、あんな綺麗な脚じゃないし、ましてや男だし・・
そんなくだらぬ事を考えて、席に座っていたんだ。”
「中村ともみさん、お待たせしました~」って、受付で呼ばれたんで僕は席を立とうとした、立とうとしたけど、直ぐに立てなかった、僕は脚首を組んで美しく揃えて座っていた。
美しい光沢を放つストッキングで両脚を包み込んで、勿論着ている洋服も女性もの、可愛らしいレース柄の白いチェニックを着ている。
どうして?どういうことこれ?どうなっちゃったの僕?
近くにあった全身が映る姿見で、僕はおそるおそる、そんな自分を確認した。
襟足の伸びたガーリーなショートヘアに、小顔で人形のような僕が、怯えた表情で鏡の
向こうからこちらを見ていた。


「お~い起きろ~」と耳元で小嶋さんの声がしたんで目覚めた。
「ふ~夢でよかった~」僕はおもわず、着ている服が男物のTシャツにジーンズなのを
確認すると、もう一度
「よかった~ほんとよかった~!」と言ってしまった。
小嶋さんは頭を傾げながら「変な子ね、どんな夢みたの?」と言いながらカットの仕上
げをしている。僕は「いやいや、変な夢、ははは」って言って誤魔化しておいた。
僕は仕上がり具合なんて全然気にしてないから、鏡も見ないでひたすら雑誌だけを読
んでいた。いや、何かの暗示にかけられたようにそうしていた。
カットが終わると、シャンプー台に行って髪を濯いでもらってから、ブローをして仕上げて
もらった。小嶋さんは、僕の髪を優しくブラッシングしながら耳元で囁いた。
「ともみは、これからも、ずっとこのお店に通うの、いいわね」
なんだか、妖しい囁きだった。たまたま、空いてるから利用しただけの美容院だし、美容
院て、女の人が利用するところ、男の僕が通うなんて、抵抗ある、でも小嶋さんの妖しい
囁きが僕を狂わせる。 逆らえない、いや、逆らいたくないんだ。
「うん、お姐さん・・また来るよ僕・・」
「だめよ、僕なんて言い方、こんなに可愛くなったのに・・・」
えっ?どんな髪型になったんだ?僕はおそるおそる鏡を見てみた。
小嶋さんと同じようなガーリーなショートヘアに変わり果てた自分が鏡の向こうにいる。
流石の僕も少し興奮気味になって彼女にくってかかった。
「いくらお任せっていってもこれじゃ~!」
小嶋さんも興奮気味だ。
「可愛いともみには、これが一番似合うのよ!なんでわからないの!」
小嶋さんは、背後からそっと僕を抱きしめると、ブラシで優しく僕の髪をときはじめた。
「可愛いともみ、わたしの妹にしてあげる」
妹!?何を言ってるのこの人?でもブラッシングがとても心地よくてなんだか優しい
気持ちになってくる、なんか変だボク?
「可愛いわ~ともみ、わたしと同じ括れショート、とっても素敵でしょ?」
そう言われて嫌な気がしない、正直ちょっと嬉しい。でも男としてのプライドがそんな
ことで喜ぶことを許さない。もう一度小島さんは聞いてくる。
「どう?いいでしょ、可愛いでしょ?どうなの?」
ええ、とっても素敵!と言わせたいのだろうが、どうしてもそんなことは言えない
でも、髪をブラッシングされていくうちに、ボクの中にフェミニンな感情が芽生えて
くる、駄目だそんなこと言ったら小島さんの思うツボだ・・でも・・・
鏡の中のボクは何故だかうっとりとした瞳で髪をブラッシングされている。
それは僕の中のもう一人のボク・・・
そんな様子を観察しながら小島さんはご満悦の表情だ。
「お化粧もしてあげようか?」
「えっ?そんな~駄目だよ~!」
ボクが顔をしかめると、もっと優しく髪をブラッシングしてくる、だんだん男とし
てのプライドも萎えてくる、不思議だ、まるでマジックだ。男のボクがいつの間に
作品名:禁断の扉(改訂版) 作家名:NAO