カナダの自然に魅せられて ~リスを探して10日間~ (1)
この旅行で行きたい所とリストアップしていたクイーンエリザベスパーク。『色とりどりのお花が咲き乱れ、広い園内をリスがチョロチョロ散歩するところ』とガイドブックには盛んに紹介していた。
リスはどこにいるんやろ。どこかから出てこないかなあとキョロキョロしながら歩いた。しかし、一向にそれらしき姿は現われなかった。
そのうちにさらに暗くなり、公園内の温室は閉館時間が過ぎて入れなくなっていた。歩いていく先々の花もカメラのフラッシュを焚いて、何とか見えるという悲惨な状況になってきた。広い公園だからまだその一部分しか歩いていないというのに…。
真夏でもあり、お花の種類は少なかった。昼間に来ないと素晴らしさも半減だなあ…と言いながら、すでに、日もとっぷりと暮れてしまったので帰ることにした。
途中、高台から眺めたバンクーバーの夜景が唯一の救いか…。キラキラと輝きとても綺麗だった。
あ~あ、昼間に来ればよかった!計画性のない旅はこういう失敗をしてしまう。反省、ハンセイ。
真っ暗になってしまったので、諦めて帰ることにした。
またバス停まで戻り、バスを待った。帰りのバスが来て乗り込むと…、
「あれっ?」
よーく見ると、さっき、乗ってきたばかりのバスの運転手さんと同じ人だった。このバスは終点まで行って折り返して帰ってきたようだ。公園にいたのは1時間足らずだから、バスもそんなに遠くまで行かなかったのかな。
美月と運転手さんとは笑いながら何かしゃべっていた。おそらく、『真っ暗で何にも見えなかった…』とでも言っているのか。私と姉とは、
「さっきと同じ運転手さんやねえ」
と、運転手さんににこっと笑いかけ、それから座席に座った。
流石に1日の疲れもあり、バスが着くまでうとうとと眠ってしまった。今度来るときは、お花が綺麗に咲く春の昼間に来よう!!と強く思った。
ホテルに戻り、
「明日は船長さんの家に行くから、10時待ち合わせね。朝、マンションを出るときに電話するから」
と、約束して美月はルームシェアするマンションに帰って行った。ホテルの部屋に入ったのは、もう夜の10時ごろになっていただろうか。荷物が届くことを美月がホテルに伝えてくれていたから安心だったが…。
夜中に荷物が戻ってきたのを見届け、ホッとして眠りについたのはもう3時を回っていただろうか。
こうして、バンクーバーの長い1日目は終わった。
作品名:カナダの自然に魅せられて ~リスを探して10日間~ (1) 作家名:ねむり姫