小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

カナダの自然に魅せられて  ~リスを探して10日間~ (1)

INDEX|3ページ/18ページ|

次のページ前のページ
 


出口を出ると、姪の美月が待っていてくれた。
その顔を見たらホッとして涙がジワ~っと滲んできた。

美月はさっき聞いた航空会社のおじさんの携帯に電話して、詳細を確かめてくれた。

私の心配は、ホントに荷物は私の元に届くのか、それがいつになるのかということであった。そのことも聞いてもらった。
最近はタグのバーコードで荷物の現在地が確認されるらしい。だから戻ってこないということはほとんどないこと。荷物のあるところはわかっているので、夜中の12時ごろには届くだろうとのことなどがわかった。

(あの青年は夜10時になるって言ったのに、今度は12時か…、ま、いっか戻ってくるなら…)

私の荷物だけがどこかのターンテーブルで、引き取り手もなく一つ寂しくクルクルと回っているかもしれない。かわいそうだな私の荷物ちゃん、と思った。

私の荷物は大きなサンフランシスコ空港からどこへ連れて行かれたのか……と思ったが、積み残しということも多いらしい。どこでどうなってたのか知りたいところだが、それは最後までわからなかった。

後でわかったことだが、私の友人もまた、この夏、オランダからイタリアへ移動したときに荷物が積み残しになっていたらしい。
「届くまでに3日間もかかったんだよ!!その日のうちに戻ったんだからよかったやん!」
と友人は言った。

旅慣れた友人は、セカンドバックにロストバゲージになっても困らないように、いつも最低限の必需品はちゃんと機内持ち込みにしているらしい。
(そうなんや。いいことを聞いた。それにしても三日間もかかるなんて、えらいこっちゃ。私の荷物は約半日だからまだいい方だったんや!)

不幸な出来事は、次の幸福な旅行への教訓にも繋がるってことだ。


ホテルでの夜は時差ボケなのかとっても眠かった。でも、荷物が戻ってこないことにはとても眠れない。心細くなって、友人にメールした。

友人の励ましは嬉しかった。優しい人だと改めて思った。
落ち込んでいる私に、元気をつけるためにとにこっと笑った写メも送ってくれた。
持つべきものは友だね。
「よくあるからな、元気だし、大丈夫、出てくるから…時間はかかるかもしれへんけど。」
《大丈夫、出てくるから。》という言葉がホントに心強かった!!

メールを交換したあとは安心したのか、しばらくうつらうつらしていたらしい。少したって、ベッドの横にある電話のランプが点滅しているのに気がついた。

「あれ?12時過ぎているのに荷物が着くのが何やら遅いと思っていたら、電話があったみたい。いつ電話があったんやろ?」
「夜中やから着信ベルを鳴らさへんかったみたいやね。きっと荷物が届いたんやろなぁ。」
と、姉と二人でフロントまで下りて行った。電話ではどう話せばいいかわからなかったから。

「お部屋まで運びますよ。」
と、若くて、背が高くて、顔がちっちゃくて、とってもかっこいいボーイさんが荷物をお部屋まで運んでくれた。外国にはなんとかっこいい青年が多いのだろう。

午前2時!!やっと私のスーツケースとのご対面。
中身を確認して安心したとたん、バタンとベッドに倒れこんだ。やっと深い眠りにつけた。


こうしてカナダの1日目はドタバタの中で終わった。