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てっしゅう
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「神のいたずら」 第三章 優との再会

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「まあね、いろんな事いう子いるよ。気にしないけど」
「羨ましいわ・・・碧に先越されて」
「お姉ちゃん受験だから諦めるって言ってじゃない?来年はきっと素敵な彼に出逢えるよ」
「まあ、生意気なことを言うのね。碧が彼を好きになっていることは十分に解るよ。あまり先走らないようにしなさいよ。こんなところ触ってきたら、嫌って言うのよ」弥生は碧の胸に触れた。
「やだ!お姉ちゃん・・・そんなことしないよ」
「解らないから言ってあげているのよ。あなたは妙にそういうことに関心が強いから危ないのよ」

確かに言われるとおりだ。隼人としての性欲はますます強く感じている。碧の身体でそれをどうしたいのか迷い続けている事が、積極的な行動に駆られる原因でもあるのだ。

次の日、授業開始前に担任の清水先生から、新任の先生を紹介された。
「皆さん、今日から新しく英語の先生が就任されます。今日の三時限目に先生と一緒に来ますから覚えて置いてください」そう言って、黒板に名前を書いた。

碧は自分の目を疑った。何度見てもそこには白のチョークではっきりと、「前島優」と書かれてあったからだ。

「優・・・まさかここの中学に就任するとは・・・どうしよう・・・気持ちが高ぶる・・・知らせないって早苗先生と約束したし・・・」一時限目と二時限目の授業はあっという間に過ぎた。いつも退屈で長く感じるのに、今日は特別だった。

ガラガラ・・・と扉が開いた。グレーのスーツ姿で優は入ってきた。短くカットされた髪が初めて見るだけで、後は全く変っていなかった。

「最初に話しました新しい英語の先生です。前島優先生です」
「おはようございます。前島です。今年から教師になった新米です。皆さんと同じ一年生なので間違えることがあるかも知れませんが、よろしくお願いします」
「それではクラス委員の二人立ちなさい」
碧と達也はその場で起立した。

「前島先生、彼らがここのクラスの委員です。戸田達也君と小野碧さんです。覚えて置いてください。いいぞ着席して」
「戸田君、小野さん、よろしくお願いします」

碧はうつむいたまま考え事をしていた。様子が変なので、達也は心配をしていた。授業が終わって優は職員室に戻っていった。

「碧・・・どうした?何か変だぞ」
「達也君、ゴメンね、心配掛けて・・・なんでもないの」
「顔色悪いぞ・・・保健室に連れて行ってあげようか?無理するなよ」
「ありがとう・・・なんでもないの・・・大丈夫だから」

全然大丈夫な訳が無かった。激しい動揺と、隼人としての感情が大きく持ち上がってきた。このままではつぶされる・・・

「達也君、今日は部活休む・・・先生に伝えてくれる?気分が優れないから帰るって」
「本当に大丈夫か?早引きしたらどうだ」
「ううん、終わってから帰る。それまでは大丈夫だから」

五時限目が終了して、碧は直ぐに家に帰った。一人の部屋でじっと考え事をしていた。
「あら、碧、早いのね。部活休みだったの?」
「ママ・・・うん、気分が悪いから早く帰ってきた」
「えっ?どうしたの・・・熱でもあるの?」
「ううん、無いよ・・・なんだかわからないけど気分が悪いの」
碧はそういうしかなかった。由紀恵はおでこに手を当てて熱を見たが、普通だったのでホッとした。

「ねえ?身体の具合が悪くないんだったら・・・ひょっとして、お腹が痛いとかなってない?」
「なってないよ。お姉ちゃんにも言われたけど、そうなったら言うから・・・部屋で横になっているから、心配しないで」
「そう、じゃあご飯まで寝てなさいね。起こしてあげるから」
「うん」

明日からどうしよう・・・優と生徒として接することが出来るだろうか。何か言ってしまいそうな自分がいる。達也への思いは今は消えていた。碧としての感情に支配されていた隼人は、優を見たことで、元の隼人に戻ってしまった。

「ねえ、あなた。碧の様子が変なの・・・心配だから明日、学校休ませて、先生に診てもらおうかしら」
「そうなのか・・・何かフラッシュバックしたのかな・・・とにかく早川先生に電話してみたらどうだ?」
「ええ、そうしますわ・・・もしもし、先生、小野です。突然なんですが、碧の様子が変になって・・・昨日までとは別人のようで、本人はなんとも無いって言っていますが、そうは見えないんです」
「由紀恵さん、解かりました。この時間からでも宜しければ、お宅にお伺いさせて頂きますよ」
「本当ですか!助かります・・・何時でも構いませんのでお待ちしています。そうそう、ご飯用意しますから食べずに来て下さい」
「ありがとうございます・・・お言葉に甘えまして、そうさせて頂きます」

早川早苗が来ることになった。碧が月に一度診察を受けている精神科の女医で、たった一人真実を知っている人物でもあった。

「お邪魔します。早苗です」
「お待ちしておりました。どうぞお上がり下さい」

台所に入るといい香りがした。食事の用意が整っていたからだ。
「これは先生、お呼びだてして申し訳ありません」秀之は申し訳なさそうに頭を下げた。
「お父様、気になさらなくて構いませんのよ。一応碧さんの主治医ですから」
「そう言って頂けるとありがたいです。碧を呼んでまいりますから、ご一緒にご飯を食べましょう」
「こちらこそ厚かましく食事時に伺いまして・・・」

「碧!ご飯よ。大丈夫?」
「うん、今行く」
台所に来て早苗がいるのにビックリした。

「先生!どうしたの?ママが呼んだの?」
「碧ちゃん、あなたのこと心配されてお電話頂いたの。お話聞かせて頂戴?」
「なんだそうか・・・別に何も無いよ話すようなこと。気分が悪くなっただけだから」
「ねえ、後で二人になってお話しましょう・・・今は学校のこと教えて?勉強とか部活とか上手くやれてる?」
「何とかね・・・勉強は退屈だよ、解かっている事ばかりだから・・・部活は体操部だよ。身体大きくなりたいから入った。単純だろう?」

やはり聞いていておかしいと由紀恵は思った。昨日までとは全く違うからだ。早苗は直ぐに二人になるといって碧の部屋に通してもらった。
「私しか聞いていないから、なんでも正直に話してよ」
「先生、優に会ったんだよ、話したよな?彼女だった。それも俺の英語の受け持ちになったんだよ、今日から」
「先生だったのね・・・彼女さんがあなたの学校に赴任したのね。偶然ね・・・動揺したでしょう?」
「やっぱり先生しか解かって貰えないな・・・助かるよ。どうしたらいいのか、考えてしまったんだよ。先生と病院で約束した、知らせないという事が守れるかどうか自信が無いんだよ」
「うん、そうよね・・・直ぐには無理でも、結局はそうしないといけないから、先生と一緒に頑張ってゆこう!・・・ね?」

碧の身体をしていても今は完全に隼人になっていたから、その表情や話し方は他人が見たら驚かされるかも知れない。

「今はお母さんやお父さんを心配させないことがまず先。今までのように碧ちゃんでいて、お願い・・・」
「先生・・・解かってるよそんな事・・・出来ないから苦しんでいるんだよ・・・」