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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「神のいたずら」 第三章 優との再会

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「隼人君、出来ない事はないでしょ?昨日までそうしていたんだから・・・甘えるのはやめて。あの事故で何人の人が亡くなったと思うの?生きていることの意味を考えなさい・・・碧ちゃんはこの身体で、この若さで、あの世に行ったんだよ!そのこと理解しているのはあなただけなの!そうじゃないかしら?」

男泣きに隼人は泣き出した。泣き声は碧のものだったが、震える身体を早苗にしっかりと支えてもらって何とか保っていた。

居間に居た由紀恵は、はっきりとした声で碧が泣いているのを聞いていた。横に居る夫に肩を抱かれながらこちらも泣き崩れていた。可哀相で仕方なかったのだろう・・・あんな事故にさえ遭わなければこんな苦労はしなくても良かったのに・・・そう思うと、雨の夜に実家の父が、「明日にしたら?」と言ってくれた言葉に従っておけば良かったと、悔やまれるのだ。自分が碧を不幸にした、そう思うと余計に涙が止まらない。

「由紀恵、泣くな!碧は成長するために試練を与えられているんだ・・・ぼく達がしっかりと見守ってやらないといけないんだよ」
「あなた・・・可哀相で・・・耐えられない」
「大丈夫だ、先生も付いているし、お前には俺が付いている」
「そうね・・・私もしっかりとしなきゃ・・・」

弥生が塾から戻ってきた。異常な家の中の光景にしばらくは言葉を失っていたが・・・一言、「どうしたの?」と聞いた。

「そうだったの・・・可哀相な碧。私も慰めに行って来る」
「弥生、辞めなさい。今は先生と二人きりにしてやって・・・もう直ぐ多分出てくるから」

静かになった碧の部屋の扉が開いた。
「ママ・・・心配掛けてゴメンね。もう大丈夫だから」
そう言った碧の話し方は昨日と同じで由紀恵の安心を誘った。力強く抱きしめて、今度はうれし泣きに泣いた。