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てっしゅう
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「神のいたずら」 第三章 優との再会

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由紀恵も碧の可愛らしさに感心した。自分の子供が可愛いと思うのはどんな親も同じだ。まして冷静に判断して目の前の碧は幼いとはいえ美人に思えたから、尚更心配になっていた。
「行ってきま~す。ママ、帰り時間は電話するから」

元気に駅まで走っていった。少し伸ばし始めたさらさらの髪が幼さを妖しいぐらいに碧を大人に見せていた。

日曜日の昼前待ち合わせの目白駅は混んでいた。先に来て待っていた達也は一瞬にして碧が目に入った。大きく手を振って、「碧!ここ」「達也君・・・」ずっと掛けてきたからハアハア言って達也の前に来た。

「走ってきたのか?」
「ハ~ハ~、うん・・・遅れると思って・・・ハ~ハ~」
「少しぐらい構わないのに」
上目遣いに達也の事を見た碧は、はっとさせるぐらいの色気を放っていた・・・達也にはそう感じた。

自然に手を差し出した達也の指に碧も絡ませた。強く握られた大きな手は、達也に守られているという安心感を碧は覚えた。

「ねえ、どこに行くの?」
「うん、後楽園にしようか・・・ジェットコースターとかに乗りたいから」
「うわ~楽しそう・・・でも、お化け屋敷は嫌よ・・・怖いから」
「ああ、解ったよ・・・」なんだか達也といると妙に子供っぽく振舞える。心の中でもう一人の隼人がそう思っていた。

「帰りにね、家に寄って欲しいの。ママにそう言って出てきたから・・・いい?」
「そうなの・・・怒られないかな?」
「大丈夫よ。達也君がどんな男の子か見たいだけだから」
「うん、なんだか恥ずかしいな・・・」
「全然!カッコいいよ、達也君は」
「本当にそう思っている?」
「本当よ!ねえ、碧のことどう思ってるの?」
「どうって・・・可愛いなあって思っているよ」
「それだけ?手も繋いでいるのに・・・それだけ?」
「誰からも守ってやりたいって思うよ」
「そう・・・」

ちょっと答えには不満だったが、仲がいいのだから答えてくれなくても今はいい、と思った。
楽しい時間が遊園地では過ごせた。マックで昼を食べて、少し散歩した。暖かな日差しにもうすっかりと緑の葉をつけている桜並木が二人の姿をロマンチックに映し出していた。

公園のベンチに座って話をしていた。しっかりと手は繋がれている。碧は身体を寄せようかどうか迷ったが・・・恥ずかしがり屋の達也に嫌われるといけないと思い止めた。

「達也君は今まで好きになった子いたの?」
「いないよ。碧は?」
ちょっと間をおいた。隼人としての思いが浮かんでしまったからだ。

「私もいないよ。ねえ聞いて・・・事故でね六年生から前の事は記憶にないの。思い出せないって言うのが本当だけど、そんな私でも気にならない?」
「何で気になるんだよ・・・今の碧といることが楽しいんだから」
「良かった・・・私は、達也君の全部が好き・・・優しいし、強いし、大きいし、守ってくれるし・・・ねえ、他の子を好きにならないでね」
「碧・・・ませてるなお前は・・・好きなんて簡単に言うなよ。まだ俺のこと半分も解ってないくせに」
「嫌いになった・・・こんな事言う碧が・・・」
もう目にいっぱいの涙が浮かんできた。女の子としての感情が隼人の気持に勝ってきている。

「そうじゃないよ・・・まだそんなことを言うのが早いって、そう言っただけだよ」
堪え切れなかった・・・碧は泣き出してしまった。

「ゴメン・・・泣くなよ。嫌いとか言ってないじゃない」
「碧は好きだから好きって言っただけ・・・泣いちゃってゴメン・・・」
達也は握っている指に力を入れた。

「碧・・・俺も好きだよ。他の子なんか好きにならないから、安心して。碧も他の男の子を見たりしないでね」
「うん、絶対に見ない・・・嬉しい、良かった。もうわがまま言わないから・・・帰ろう、家に来て」
「解った。そうする」

朝、逢った時より確実に強く握られている手を絶対に離さないと碧は決めていた。この時は本当に好きになれると思っていた。

電車に乗る前に家に電話をかけた。
「ママ、今から帰るから・・・うん、戸田君と一緒に帰る。解った伝えておくから。達也君、ママがねあなたのお家にも電話をしておくようにって言うの。これで掛けて」
「碧、お前携帯持っているのか?もう」
「ううん、ママのなの。貸してくれただけ」

達也は帰りに碧の家に立ち寄ると母親に電話をした。

「言ったよ」
「お母さんなんて言ってた?」
「ちゃんとご挨拶しなさいって・・・」
「ほんと、まあそうしかいえないわよね」
「うん、あの人心配性だからいちいちうるさいんだよね」
「ママと一緒だ!ハハハ・・・どこも同じなのね」
「おまえ家もそうか・・・親ってうっとうしいて感じるけど、一番心配していてくれるんだよな。姉さんなんか父親にうるさく言われるから切れてるよ、時々」
「そう・・・家はそんな事ないよ。パパは優しいし何にも言わないから私たちの事は」
「へえ~そうなの。淋しくない?」
「何で?別に嫌われている訳じゃないし・・・」
「そうか・・・そうだな。電車来たぞ・・・乗らなきゃ」

目白からは手を繋ぐことを止めて並んで歩いて家まで行った。
「ただいま!今帰ったよ」
「お帰りなさい。戸田君ね?さあ上がって」
「はい、戸田です。お邪魔します」
達也と碧は居間のソファーに腰掛けて、由紀恵が出した紅茶とケーキを食べていた。
奥から飲み物を取りに来た弥生は達也と目があって挨拶をした。
「姉の弥生です。今日は妹が世話になってありがとう」そう言って自分の部屋に戻って行った。

由紀恵を交えてお互いの家族のことや学校のことを少し話して、達也は帰っていった。碧は見えなくなるまで手を振って見送っていた。

食事の時間に弥生が今日の事を聞いてきた。
「戸田君ってカッコいい子ね。碧にはもったいないぐらい」
「お姉ちゃん!何で碧にもったいないの?」
「だってさ、背も高いし、男らしいし、顔だってイケメンの部類よ。おまけにスポーツマンなんでしょ?負けてるよ完全に、碧が」
「弥生、人はそんなことで決められないのよ。碧だってこんなに可愛いからお似合いよ、ママはそう思うわ」
「なんでママはいつも碧の肩を持つの?なんかえこひいきしてるよ」
「あれ?お姉ちゃんひょっとして嫉妬?」
「何でお前に嫉妬するんだよ・・・バカらしい」
「おいおいもう食事のときに喧嘩するなよ」珍しく夫の秀之が口を挟んだ。

「お姉ちゃんが悪いんだよ・・・碧の事からかうから」
「はいはい、もう止めにしましょう。ご飯食べて」

弥生はちょっと悔しかったのかも知れない。自分には彼が出来ないのに、碧は中学一年でもうあんなにカッコいい彼をゲットしている事がだ。風呂から上がってきた碧を部屋に呼んだ。
「ねえ、今日のこと聞かせてよ」
「うん、遊園地でジェットコースターに乗ったよ、それから観覧車でしょ・・・」
「ねえ、戸田君のこと好きなんでしょ?碧は」
「お姉ちゃん・・・うん、好き」
「ふ~ん、じゃあ手は繋いだよね?」
「うん」
「キスは?」
「してないよ!それはいけないってお姉ちゃんが言ったんだよ」
「そうだったわね、ハハハ・・・でもね、カッコいい人見つけたわよね・・・クラスで冷やかされるでしょう?」