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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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おはようの事情

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 小原と大矢。苗字が近いという事で僕達は社員IDが一番違いになっている。そして、社員研修のグループ分けやペア組などで何かと協力し合う関係になった。
「小原陽平か、約して“おはよう”だな」
 自己紹介した僕に大矢が最初に言った言葉だ。そして――。
「俺は大矢純夫、約して“おやすみ”。良いコンビが組めそうだ。よろしくな」
 その時大矢は何故だか嬉しそうな顔をしていた。

 翌週の金曜。
『和風ダイニング 雅』は会社から二駅離れた小さな雑居ビルの地下に在った。
 内装が真っ黒でシックと言えるかも知れないが、造りそのものはチェーン店の居酒屋と大差ない気がする。
 集まったのは海外営業部と総務部、それにお客様相談室の女子四人と、国内営業の大矢と商品開発部の僕の他、部署はばらばらの同期の男が五人だった。
 女子は元々海外営業と一部国内営業から五人が出席する予定だったが、大矢の評判が悪いのか当日になって三人がキャンセルという事になり、急きょ女性幹事の同期から補充が行われたのだが、結局一名の欠員は埋まらなかった様だ。
 それが影響したのか親睦会の始まりはあまり盛り上がらなかった。
ただでさえ一名少ない女子の内のひとりが自己紹介で名前を言ったきり、一言も口をきかないのだ。
 確か海外営業の楢崎小夜さんだった、と思う。思う、というのは他でもない、自己紹介の声があまりにも小さかったのだ――。

 店に入って皆が揃ったところで、大矢が全員の座る位置を指示していた。女子の幹事の有賀さんと軽く打ち合わせをしてきたらしい。あれでなかなか周到な男なのである。
 配置上、幹事の大矢はキッチンに近い端の席。無口な僕は大矢の隣に座らされた。僕はどうせまた何かのだしにでもされるのだろう、と半分の怒りと半分の恐れに心を満たされそうになったので、半分の諦めを足して溢れさせ、薄める事にした。
 そして会は簡単な自己紹介から始まった。
「えーと、私が今回の全体幹事の大矢です。国内営業をやってます」と言ったところで、資材部の丹羽が「よっ営業のホープ殿」とちゃちゃを入れた。実際、大矢は国内営業の若手ではかなりよい成績を収めているらしい。
作品名:おはようの事情 作家名:郷田三郎(G3)