小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

気づいてね!

INDEX|5ページ/8ページ|

次のページ前のページ
 

そして、今朝の甘ったる~い一言 ・・・ それは「気づいてね!」だった。

「うーん、気づいてねってか? 
俺は、今日一体、何を気づけば良いのだろうかなあ?」
洋介はそんなことをぼんやりと考えながら、いつも通り電車に揺られ出勤した。

仕事は順風満帆。 
特に問題はない。

しかし、私的にちょっと悩みがある。
それは夏美のことだ。

オフィス・レディの夏美とは、このオフィスに転勤して来てから知り合った。
その彼女の機嫌が最近チョー悪い。
何かにつけて洋介に絡んで来るのだ。

「ちょっと夏美さん、この資料の訂正をして欲しいんだけど、2時までにやっておいてくれないかなあ」

洋介がそんな簡単な頼み事をしても、
「なによ、これ、私忙しいんだから、そんなの残業してこなしなさいよ、毎日飲み歩いてんでしょ」と、けんもほろろ。
まったくもって、返って来る言葉に棘がある。

洋介は堪らず、最近派遣されて来たお姉さんに、
「ねえ、俺が下書きで直しておいたから、そこをサラサラっとワードで打ち直しておいてくれない」と頼まざるを得ない。

そんなやり取りの様子を見ていた夏美が、ぷいとデスクを立って、トイレの方へ消えて行ってしまった。

「どうしたんだよ、夏美のやつ?」と訝(いぶか)ってる時に、洋介は思い出す。
そう、それは朝の一言・「気づいてね!」だった。

「そっかー、最近夏美を誘ってないからなあ ・・・やっぱり」
夏美の不機嫌の理由、どうも思い当たる節がある。

「だけど、夏美と一緒に行くと、いっつもウニにアワビにトロだからなあ ・・・
まるで俺を虐めるかのように、高級ネタを注文するんだから、まあ、仕方ないかな」


作品名:気づいてね! 作家名:鮎風 遊