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キジン×ヘンジン×サツジン

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「ああ、それならですね、僕が夢埜さんの部屋に行ったら、扉を開けたときにちょうど着替え中だっただけです。悲鳴は夢埜さんのもの、大きな物音はかばんを投げつけられた音です」
「なんですって! それは事件だ! すぐに捜査をしなければ」
 大げさなリアクションで、彼はそういった。
 それを見て、沙織ちゃんが首をかしげながら、
「今のどこに事件性が……?」
 と、四方八さんに訊く。
 その言葉でここまでの事を振り返り、
「え? えーと……ないですね、どこにも。すいません。勘違いしてしまったようで」
 恥ずかしそうに頭をかいて答える。
 勘違い、で済まされるレベルの話なんだろうか。
 僕にとっては甚だ疑問だったが、深く突っ込むべきでもないだろうと思い、自粛する。
「ところで、二人していったいどちらへ?」
 さっきの恥ずかしさをごまかすようにいう。
「四方八さんのお部屋に遊びに。二人して暇なんですよ」
「私の部屋ですか? 来ても何もありませんよ。暇つぶしになるような物すら持ってきていないんですから」
「そうですか……。では残念ですが、疑衣さんの部屋に行くことにします。四方八さんはどうしますか?」
「私は遠慮しておきます。部屋で夕飯までゆっくりしていますよ」
 僕らは、
「わかりました。ではまた」
 と言って四方八さんと別れ、疑衣さんの部屋へと向かった。