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キジン×ヘンジン×サツジン

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 すると、仕使さんが仕切りなおすように、言葉をつむいだ。
「さて、これで全員ですね。では、――」
 そこまで言ったところで、
「あ、あのぅ。こ、こんなところに何人も、どんな御用ですか……?」
 いつの間にかドアの隙間から、女の子が顔を覗かせていた。
 長い黒髪がすっと背中に落ちており、端正な顔立ちをしている。
 着ているのは和服だ。
 そんな少女に、仕使さんが、
「おや、あなた様は?」
「わ、わたしですか……? わ、わたしは、この館で死んだ、幽霊です」
 ………………幽霊。
 色物ばかりだと思っていたが、まだ色物がいたのか。
 どことなく不信そうな目で、仕使さんは、
「幽霊、でございますか……?」
「は、はい。この通りです」
 そう言って彼女は、扉をすり抜けて、部屋に入ってきた。
 ……ほ、本物の幽霊っているんですね……。
 しかし、魔女だっているんだ。
 幽霊がいても問題ないだろう。
 一瞬、仕使さんが目を見張るが、すぐに柔和な表情になり、
「あなた様は、このパーティーにご招待された方でございますか?」
「パーティー? ああ、会食のことですか。ええっと、招待されていませんけど、ここに、わたしは住んでいるんですけれど……」
 幽霊にも住居というものがあるのか。
 そう考えるとホームレスの通間さんは逞しいな。
 何か逡巡していた様子の仕使さんが、
「……わかりました。お住まいになられていたのなら、特別に参加しても問題ないでしょう。では、他の方の紹介を……」
「い、いえ、大丈夫です。その……こっそり隠れて聞いていたので」
「そうですか。それはようございました。では、自己紹介の方をお願いできますでしょうか?」
「はい。わ、わたしは宮小路 沙織(みやのこうじ さおり)といいます。この館の幽霊です。よ、よろしくお願いします」
 少しおどおどしたところが、小動物チックで可愛いなぁ。
 抱きしめたいかも。
「さて、お待たせしました。では自己紹介をどうぞ」
 仕使さんがそういうと、僕に視線が集まる。
 言われてみれば、自己紹介がまだだった。
 軽く呼吸を整え、一息、
「僕の名前は十一月二十九日 晦日(つめづめ みそか)です。大学二年生です。よろしくお願いします」