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吾輩は猫のキューピッドなのにゃ

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 黄緑色の眼がきれいだった。猫は私の膝にのり、喉をごろごろ鳴らした。
 私は読書をやめた。猫と凝視め合った。また、可愛らしく鳴いた。
「おなかがすいてるのか」彼は返事をした。私は餌を掌にのせて戻った。
 猫は食べ始めた。食べ終わると喉を鳴らしながら、膝の上で眠った。
 紅い首輪にハート形の銀色のペンダントがついている。縦横二センチ弱のそれは、中に狭い収納スペースがあった。
 私は薄い感熱紙に、
「この猫の名前を教えてください」と、二ミリ角の文字を書き、紙を小さく切ってそれをペンダントにしまった。三十分ほどで、猫は起きた。
 私はテーブルの上の放置されていた五円玉の孔に、糸を持ってきて通した。
 それで猫を遊ばせた。テーブルの上に黄色の硬貨を転がすと、夢中で猫はそれを追う。捕まえそうになると、私は糸を引いた。押し入れから短い釣竿を出した私は、釣り糸に硬貨をつけた。猫は足音をさせて、ペンダントを光らせながらフローリングの上を走りまわった。
 獲物を狙うときの目つきが変わる。首を縦に何度も振ったりする。可愛い。
とんでもなく可愛い。
 帰るときはひと声鳴いた。
 その翌日、私は勤め帰りに猫のトイレと猫砂を買ってきた。
 去年まであったものは、母が棄ててしまったのだ。
 今日もやってきたチビは、ちゃんとトイレを使用した。