詩集 CaF2
北落師門
2010/10/30 02:35
長袖の薄いセーターを着て出かけた
僕の街には港があって
其処はすっかりと観光用に整備されている
病院の帰りに
そのあたりに足を伸ばして
昼間の日差しに俯きながら
遊覧船が出ていて
僕は彼女とのりこんだ
15分ぐらいの
外海のうねりが怖かったけど
彼女は平気なようだ
僕等は僕等を巡っている
フォーマルハウトbに棲む(であろう)
夢を視る人のような
そんな僕等も似たようなものだ
遊覧船はカーヴして
僕らはとてもとても大きな船とすれ違う
夜空をさして君が言う
現在と未来の何処かの出来事
寂しい夜空に輝く
みなみのうおざのくち
王家の星よと呟いて
その熱は宇宙に孵る
長袖の薄いセーターをギュッと抱きしめると君がいた