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天通商店街

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 しばらくして気を取り直した私は、再び商店巡りに没頭した。
 金物屋の顔が湯を沸かすやかんのようになっている女主人にストーブで焼いた焼き芋を振舞われた。それから他の店でも焼き鳥、スイカ、ポン菓子、すいとんなどを食べ、心の中が懐かしい匂いでいっぱいになった。チケットでもらえた物は食べ物が多かったが、不思議とお腹はいっぱいにならなかった。その時々では満たされるのだが、次の店に着く頃には必ず余裕が出来ていた。
 そうやって店を回って、ふと気付くと手元のチケットの綴りはずいぶんと薄くなっていた。もう残すところは数枚しかない。
 これだけ店を回ってきたにも拘らず、手元に残るものは何も無かった。薄々ではあるが、それには何か理由があるのだろうと感じていた。しかし、それを口に出して問うことは何故だか出来なかった。
作品名:天通商店街 作家名:牛頭馬頭