貝殻
「どんなとこで、最近遊んでます?」と急に囃し立てる速さでわたしは頭を回転させた。そして自分からその名も知らない女性に身を寄せ始めた。
「?」とまたその名の知らぬ、女性は怪訝な振りを今度はした。でも実際は今回は怪訝ではない内心はなぜかわたしからもみえた、垣間見る余裕が有った。
どんなことだろう?この女性の名前て???名前にこの女性の持つイメージと合致完全するナイスな付加価値がつくのも可能なぐらいのモノでしょうか。どんなことだろう?って名前にしては自問に使用する文言にしては変だ。可笑しい。
そこでわたしはその女性に対し美しすぎる以前にもっと前段階の致命的ともいえる段階で攻め込む事にした。なにかというと、こうだ。
不倫概念への挑戦だった。それは相手の美すら無視するほどの。そう言い聞かせわたしは葉子への思いをこのときは完全に無にした。無にすることに成功させた、可能だった。そうすることは。微力ながらわたしも葉子への貢献は果たして来たつもりで、この際両者の心理をはっきり輪郭線を描くいい機会の到来だ、となんだか言い訳がましくも気分を晴らそうと2,3秒躍起になった。この女性にその行動は悟られなかったであろうか。そこには不可視な葉子とわたしの世界がある。
今度はその女性から切り出した。
「あの。この犬はどう思います?」
「ん。この辺の地理をご存知の様だ。いつもお決まりのコースで慣れた感じで、ルート闊歩してますね。そうそう、いい犬だ。主人によく似ていらっしゃる。聡明そうだ。良かったこの犬が居てくれて。」
「あの。なんで貴方はそうなの?いつも不思議。いつもみてた様でいつも距離を縮めててたかのようにわたしに知ってか不意を装い連携を願ってる。そう、この散歩においても。」そんなはずはない。そうだ。この間、わたしは距離を更にその女性側へ詰めた。
この女性も満更ではなさそうだ。初心(うぶ)な匂と経験の雰囲気が女性から発せられていた。ここで社の同僚の冴場恭子のことがこの女性と似て関連づけになんか思い出されて来そうな源を感じた。そしてそれは現実となった。才能型人間である恭子とよく似ている。いえ、姿ではなく、その才能そのものが連環の切っても切れぬ輪の如く、わたしを苦痛の世界への誘いを産む、屈従というあまり普段女性から受けない、屈辱をこの女性の恭子サイドの人間からの圧力として才能人=わたしへの屈辱を誘うモノ、かの如く、わたしをいままでも何度か経験してきた圧力をこの女性はなんで与えて来るんだ?
どうしようもない挫折に甘んじるのはごめんだ。そういま女性に伝えたい気持ちを誰か判ってはくれないだろうか。
「あの、その、美人ですね。あなた。こんな事って・・。」自分でも驚いたが。
半分無意識でわたしはこの女の乳房の膨らみを触れては居た。服の上からであるが衣服の上からそれとなく動物的感性で触れていた。
そんなことに変な意味をその女は気付かぬ振りをその後したようだ。しかしわたしはまだ依然、乳房の触感を腕に伝わせて居た。半分無意識に動物的にそして、もう残りの何パーかは意図で・・。女性にとりその件はなんでも無かったかのうようだ。そして別れる間際わたしはその女の名前を訊いた。
その後わたしは驚いた、改めて。自分の取った行動に。名前を訊いたり、乳房に触れた事もそうだが、女性に才能の高さを感じるのは新鮮である事に。あまり女性の才能に気付く事が少なかった様だ。そう。たったいままで・・。これじゃいかん、と葉子の事を考え真面目に捉える約束を再度何度も5秒間、してみた。たった5秒の頭脳内整理で在ったが。つぎにわたしは外出の用を果たし、家路の途中こう考えを巡らした。またさっきの女性には会うのだろうか。つぎはこうしてやろう。あの態度知恵の輪を解かずには居られない心理へわたしを誘う態度。この流れのわたしの思考は完全停止してるのか?流れ的に矛盾している。ふたりの女性への想いが錯綜して?いえ、違います。矛盾の原点は異なるカテゴリーのぶつかりあいを多分に含む。これは同カテゴリーの同体の相互効果期待値なんだ。葉子一途へ向けられた、そう思うことにしてわたしは帰宅した。始まりとは切ない物だ。者と者がぶつかり合う開始はこんな程度の儚さ、夢を追い、失うものだ。一時の少量の欠落ではあるが。犠牲の無い出会いは無い。はらんだ結末への初期はいつも、いつだってハラハラどきどきの興奮の渦なんだ、得れる物が得れればいいさ。そう考え生きて来た課増で有った。さて、ここで先程の女性の美人過ぎる名前を紹介して置こう。伊菜。あの女性はただ、下の方だけをこうボソッと気に入らないかの様にわたしには教えた。ただ、それが真実じゃなくても満足だ。こうしていられる自分がなぜか心地良い。度量が大きくなったなあ、とおもってしまった課増で有った。器とその内容物のしたたかさを気にもせずに課増は優越感について1この結論を所有する道すじを帰宅後通過しつつ在った。が、興奮の止まないせいもあり、軽い眠りへ自然と課増は落ちていた。目覚めさせつづける興奮も在れば、睡魔を呼ぶそれもある訳で・・。後者の場合はハッピーエンドで終わる場合が多いと良いが。始まりは全てのおわりとは良く謂ったモノだ。歴史を紡ぐべき人類の課せられたハッピーを量の変化なく続けるのは大変な労力だ・・・・。始まりとは完全な夜と朝の往復を期待しそれ以外の終わりを叶えさせるべき前置き。そんなことを交え、深層の肉体全体に浸透させながらか課増は軽い休息の始まりの予感の夢をみる睡眠を取った。
暗い夢だった・・。あのときみたのはその後。長く経ち振り返った、まだ将来の未来事で或るがわたしはこう振り返ることに成る。「さばさばした、感じ。寝汗をびっしょり汗をかきそこはかとない沈黙。だれかが夢の中で自分本人以外もう2人存在し、黙っている。
わたしもその夢の中では黙って、その憂鬱そうな、2人をマジマジと眺めた。そう、これは完璧である、とある、人間の尊厳。そのとあるとはわたしではその夢の内部では持ち得なかった。そうわたしは夢中所持出来なかったんだ。なぜならわたし以外の両者が夢内では俄然優位・完璧だったから。なにかこう・・・漠然と見下ろして居た。その2人は僕を・・・。」そんなことにいまは気付かないことに幾分楽をちょっと分、得をし、わたしは未来の土曜今夕の夢を立ち戻るすべと理由を持たずに夜刻半ばに目覚めた。
しかし、わたしは一体何をやっているんだろう??そう、ここは我が自宅で在り、自由なんだ。完全になににも束縛される気はない。
そんな詰まらない想いに葉子と夕刻会えた女性に積極的に影響をわたしに打開という利器を与えてほしい、なんて期待を含め2人を妄想してみた。2人は完全に終わりの存在し、そこにターミナルのしがらみがいつまでも2人の各々に打開してくれるのを待っている、2人に取っては安易な試練で、あるかの様にわたしは薄々2人の実力を認めはじめて2人を捉え始めて居た。そして、これは完全なんだ。屋内での無束縛なんて。