貝殻
そう2人は仕事上、ペアなんだ。もちろん、わたしが責任者である。と、兎にも角にもやりのこしがないように取りあえず仕事はおわらした。
「ふぅ、今日このあと、どこかいきません?」
「そうだね、どこかいこうか?」仕事上、なんかの関係に配属されると妙に親近感が沸くのかも知れない。わたしとしてはうれしいことだ。女性は好きだし。卒なく会話ができる女性とは居ても自分自身も苦じゃないし心地良い物だ。
「和食でも食べにいきます?」
「いいわよ。」
とどのつまり、自分自身ではわかってるつもりだが、心地良いと思う。こういう感じって。むづかしい考えで人生を充実させることにおもいを馳せ、その結果を見事に成就させることより。日常的愉快とでもいうものかな。そして二人は社をでた。
始まりは。
外は曇天の空模様だ。冬の午後6時半、まだ空模様の区別は付いた。もう11月か、そろそろ冬支度の人の姿が街中も目立ってくる。心も冷え切ってしまわねばいいが。できるだけ暖かい温い格好で心が圧し折れ挫折するタイミングの到来を夏時分より厳重注意し、見張らないと。
「ねぇ。予算はどれくらいにする?今夜?」
「そうね。私、カツが食べたいは。」
ふたりは、しばらく街の景観を楽しむかの様に宛ても無く、目的店も考えずにふらふらと並んで、歩いた。
いつも葉子は、わたしと歩くとき、いつも右斜めややほんのちょっと50cm程、後ろを歩きついて来る。今夜もやはりそうだった。特別な意味が葉子に取りあるのだろうか?いや、この歩き方だよ。それとも癖?ひとと歩くとき、いつも性別問わず、この位置なのだろうか。増してや、ひとにより位置は変えているのだろうか。
不安になりつつ、私たちは以前葉子の友人に紹介された有名な和食系のお店を目指す事にした。その経過、ふたりはこんな会話をした。
「ねぇ。」と葉子。
「ねぇ、ひとってこんなにも簡単に外出するいきものなんだね。これって原始の人間の発生時分からこんなに気軽な外出だったのかしら?また、変な目的や理由がなければ、外出はしてはいけない?特別なのかしら、外に出るってことって?私、外って一応好きだけど、ときに寄っては見られたくないという意図以外にも外が好きになれないで、家に閉じこもる理由もなしに漠然と悲観にくれる屋内の景観を眺めてるときが多くあるは。」
変な事をいう。とおもった。高卒の筧葉子にとってこんな達観を含み、深い、抽象・哲学的な考えをわたしへ向かい、問うというのはショックを受けた。大卒で或る、わたしにとり一応教養で凌駕されるのは非常に気まづいのでどうにかそれ相応の返事を返したくなった。
「そうだね、筧さんにとって、外はやはり、特別、こういう物だと考えたことがなかったんだよ。それに外と屋内もべつに違いがあるってことを意識する時点でそれはそれで、生活は充実してるんじゃないかな?俺は、そんなこといちいち意識してすごしたりはするようなタイプじゃないな。季節柄かな?筧さんがそういうの問うのって?」
ふたりは街の雑多の繁忙の中に染まりながら店の前で、軽くまわりのひとや建物の景観を眺めつつ、店に入った。よくある、和食レストランで在ったが、友人が紹介するぐらいの店の雰囲気とバリューは店に入ってすぐにあると気づく程だった。メニューリストをみたが、みたこともないような料理メニューもあり、何を注文しようか、すこし混乱した。
「なににする?」と葉子。そうだな。めづらしく、アチーブメントを葉子に仕事外では譲りたくなった。
「温かい物にしよう。」と取り敢えず、返事した。
「解かったは。じゃ、課増さんはこれ。わたしはこれにするー。お値段はだいじょうぶかしら・・・。」
「うん、それでいいよ。ところで、今日の仕事はなんで、めづらしく恭子はからんでこなかったんだろ?」
「んん、冴場は別の課の同僚と関わり合いを増やしたいみたいよ。彼女にもいろんな考えがあって仕事一途で終わらしたくは無いみたい。仕事はちゃんと出来るんだし、私も見習いたいは。ああいう風に要領良く、頭を賢くつかい、充実の世界感で日々進むといいなぁ。」
冴場恭子は、係もおなじだが、割と要領のいい才能型人間でまわりの評価も外見でも内面でも高い。その分、わたしはどうも関わりを保つのが不得手だ。才能のある人間かぁ。とわたしは不意に優越的な感覚で考えた。才能の高低なんてあまり考えもしなかった自分。
才能て動物界にも有利不利を生むのだろうか?いや、こうではない。動物界の中の食物連鎖に必要なシステム弱肉強食じゃなく、人間が外部から捕食や趣味・利益の為に動物をああしよう・こうしようと影響を行使することに対し、対応することにも才能は影響少なしとは謂えぬ?それは捕食される動物だけからだけじゃなく、捕食する人間の才能つまり、人間外と人間の才能の両方の量的・値的バランスの差が決め手となり、生と死の違いの結果を動物にはもたらすのだろうか?賢い動物はそれだけ生き延びる率UP?種に寄り賢愚の差があると思うが、それ相応に数と全種族生き残りの才能種族別パワーバランスは人間が文明をもつ以前はとれていたんだろうな。と思っていた。でも葉子と今夜、この店に入ったことでなんかわたしの考えのバランスも狂いいままでの子供のころからの考えに行き詰まりを覚えて来、考えを修正、自分なりにしたくなってきた。
葉子はどうなのだろう?ふと葉子に自然の成り立ち方について考えをこんな場面であれだが、訊ねてみたく成った。
「まぁ、いいか。恭子はひとも羨む才女だ。自分のことも把握出来てるだろう。簡単なことをさせつづけるのも酷だし、配慮を考えてみるよ。おっと。ビールが来たね。じゃ、おつかれさま。ひとまずはお互いの関係を良好にときどきいままでもこうしてきたかのように遊びでオフを設ける機会てのもいいね。じゃ、ひとまずは急くことなしに小時間寛ごう。仕事では急かされぱなしだしね。それに今日は金曜だ。時間はだいじょうぶ?」