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クリスマスお父さん

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●第二話

「イブの夜?」
「あぁ、そうだよ」
「イヤよ、友達と遊びに行くんだから」
「友達って誰だ?外泊はダメだぞ」
「誰でもいいじゃない、パパには関係ないでしょ!?」
「美樹ちゃん!」

「行ってきま〜す」



 美樹は高校一年生。古い言葉で言えば、遊び盛りだ。
 門限だのなんだのと細かいことまで制限するつもりは無いが、犯罪行為に及ぶ可能性があるようなことは絶対にやらせない。

 最近、付き合う友達が変わってきているという学校からの連絡を妻が受けている。
 制服のまま夜遅くまで出歩く回数も増えて来ている。

 ―― 反抗期

 私にとって死刑宣告のような言葉。
 密教の修行法に三年かけてやり遂げる千日業という荒行が存在するが、それとは比べ物にならないほど辛く、なにより寂しい。

 何故こんな酷い仕打ちを受けなければならないのだ!?
 私が一体何をしたというのだ!?
 仕事から帰ってくる度に、『パパ、おかえりなさ〜〜い』と抱き着いてきたあの幸せの日々は戻らないのか。
 美樹の太陽のような笑顔が私に向けられることはもうないのか。
 私は一体何のために今まで生きてきたのか。
 あぁ…私は何を支えに生きて行けばいいのだ……

作品名:クリスマスお父さん 作家名:村崎右近