クリスマスお父さん
「・・・っ!!」
「やっと起きたか」
吉原が横に座っていた。頭がガンガンしている。
「ここは?」
「『Stay Free』だよ。忘れたのか?」
……思い出した。今日はクリスマスの前週だ。
切り良く仕事が上がったということで、メンバー全員で飲みに出掛け、そして吉原以外のメンバーと別れてから、行き付けのBAR『Stay Free』に来たのだった。
(酔い潰れてしまっていたのか)
「今、何時だ?」
私は痛む頭を支えるようにして店内を見回した。
「もう四時に近いな」
吉原は水の入ったコップを差し出した。
店内は暗く、私と吉原以外に人影は見当たらない。
「マスターは?」
返事の代わりに鍵を振る吉原。つまり、鍵を閉めて帰れということだ。
「すまんな」私は苦笑した。
「いや、気にするな」
吉原は、カウンターに置いてあるメモを指さす。
『鍵は置いて行きます。閉めて帰ってください』と書かれたメモがあった。そのメモが示すことは、二人とも酔い潰れて寝ていたということだ。
「夢を見ていたよ」
私はコップを受け取り一口飲んだ
「美樹ちゃんの夢でも見たか?」
タバコに火をつけながら、吉原は笑う。
「違う。クリスマス・イブの夜に、仕事の電話が入る夢だ」
「それは不吉な夢だな」
「お前が逃がしてくれなかったせいでな」
「おいおい、俺はまだなにもしてないぞ」
鍵を閉めて店を出る。寒々とした風が吹いている。
こんな時間でも、ネオンだけは消えることがない街。
どこからか、酔っ払いのへたくそな歌が聞えてくる。
「この歌、なんて名前か知ってるか?」
「いや、わからないな」
「お互い、もう若くないな」
「そうだな」
寒さが身に染みた。
「やっと起きたか」
吉原が横に座っていた。頭がガンガンしている。
「ここは?」
「『Stay Free』だよ。忘れたのか?」
……思い出した。今日はクリスマスの前週だ。
切り良く仕事が上がったということで、メンバー全員で飲みに出掛け、そして吉原以外のメンバーと別れてから、行き付けのBAR『Stay Free』に来たのだった。
(酔い潰れてしまっていたのか)
「今、何時だ?」
私は痛む頭を支えるようにして店内を見回した。
「もう四時に近いな」
吉原は水の入ったコップを差し出した。
店内は暗く、私と吉原以外に人影は見当たらない。
「マスターは?」
返事の代わりに鍵を振る吉原。つまり、鍵を閉めて帰れということだ。
「すまんな」私は苦笑した。
「いや、気にするな」
吉原は、カウンターに置いてあるメモを指さす。
『鍵は置いて行きます。閉めて帰ってください』と書かれたメモがあった。そのメモが示すことは、二人とも酔い潰れて寝ていたということだ。
「夢を見ていたよ」
私はコップを受け取り一口飲んだ
「美樹ちゃんの夢でも見たか?」
タバコに火をつけながら、吉原は笑う。
「違う。クリスマス・イブの夜に、仕事の電話が入る夢だ」
「それは不吉な夢だな」
「お前が逃がしてくれなかったせいでな」
「おいおい、俺はまだなにもしてないぞ」
鍵を閉めて店を出る。寒々とした風が吹いている。
こんな時間でも、ネオンだけは消えることがない街。
どこからか、酔っ払いのへたくそな歌が聞えてくる。
「この歌、なんて名前か知ってるか?」
「いや、わからないな」
「お互い、もう若くないな」
「そうだな」
寒さが身に染みた。