神々と悪魔の宴 ⑪<悪魔の契約>
神々と悪魔の宴 ⑪
<悪魔の契約>
「何でも望みを三つ叶えて差し上げますよ」
イタリア製のブランドもののスーツを着込んだ悪魔はボクのアパートのドアをノックした。ボクがドアスコープを見る事も無く鍵を開けると、彼は高級そうな革靴を履いたまま上がってくるなりそう言ったんだ。
キミ達は悪魔なんて信じられないって思うかもしれないけど、理屈じゃなくてそれは悪魔だったんだ。
彼自体の雰囲気もさることながら、その身につけた装飾品達までがこの世のものとは思えない、妖しい耀きを放っていたからね。
とにかくボクは一瞬でそれを信じる事が出来た。
キミ達だって実際に悪魔に会ってみればすぐに解ると思うよ。だってそれが悪魔なんだから。
「もちろんタダで、とは申しませんよ。私も悪魔の端くれですからね。望みを叶えた暁には貴方の魂を頂きます。
いえ、痛いとか苦しいなんてことは無いのですよ。望みを叶えて満足された後で、ということで」
「それって死ぬって事だろ?」
「いえいえ、魂が消滅するような事は無いんですよ。それに……」
「それに?」
「それに、ちゃんと貴方の寿命が尽きるまでは待って差し上げます」
そう言って悪魔は恭しく頭を下げた。
「おいおい、寿命が尽きるまでって言っても、願いの中に死なないってのが有ったらどうする?」
「はあ、チョット困った事になるかも知れませんね」
チョットなんて言っていたけど、その時の悪魔は心底困ったような顔をしていたんだ。
ボクはそれに気を良くしてつい口を滑らせたのさ。
<悪魔の契約>
「何でも望みを三つ叶えて差し上げますよ」
イタリア製のブランドもののスーツを着込んだ悪魔はボクのアパートのドアをノックした。ボクがドアスコープを見る事も無く鍵を開けると、彼は高級そうな革靴を履いたまま上がってくるなりそう言ったんだ。
キミ達は悪魔なんて信じられないって思うかもしれないけど、理屈じゃなくてそれは悪魔だったんだ。
彼自体の雰囲気もさることながら、その身につけた装飾品達までがこの世のものとは思えない、妖しい耀きを放っていたからね。
とにかくボクは一瞬でそれを信じる事が出来た。
キミ達だって実際に悪魔に会ってみればすぐに解ると思うよ。だってそれが悪魔なんだから。
「もちろんタダで、とは申しませんよ。私も悪魔の端くれですからね。望みを叶えた暁には貴方の魂を頂きます。
いえ、痛いとか苦しいなんてことは無いのですよ。望みを叶えて満足された後で、ということで」
「それって死ぬって事だろ?」
「いえいえ、魂が消滅するような事は無いんですよ。それに……」
「それに?」
「それに、ちゃんと貴方の寿命が尽きるまでは待って差し上げます」
そう言って悪魔は恭しく頭を下げた。
「おいおい、寿命が尽きるまでって言っても、願いの中に死なないってのが有ったらどうする?」
「はあ、チョット困った事になるかも知れませんね」
チョットなんて言っていたけど、その時の悪魔は心底困ったような顔をしていたんだ。
ボクはそれに気を良くしてつい口を滑らせたのさ。
作品名:神々と悪魔の宴 ⑪<悪魔の契約> 作家名:郷田三郎(G3)