いまどき(現時)物語
しかし、浮舟の辛辣な推理は止まらない。
「桜木君はね、きっと危険な快感を味わいながら、適当に遊んで来ただけなのよ、
椿子を別に深く愛していたわけでもなく、まあ上司朝霧から受ける虐めの、そう、強請(ゆすり)は復讐ね、復讐なのよ」
浮舟は、ヤケに「復讐」と言う言葉に力を入れて来る。
高見沢は身を固くしながら、「復讐、やっぱ復讐ね」と繰り返しながら、浮舟の話しに同意の相槌を打つ。
「つまり桜木は、朝霧と可奈子のスキャンダルの強請りの犯人になり得るという事か?」
「高見沢さん、その通りよ、
強請りもあり得るし、その上に復讐の強さの証拠にね、
今度は朝霧の愛人の可奈子にインテンショナリーに接近し、奪い取ろうとしているの、
一見優しそうで虫も殺さぬイイオトコなんだけど、品性と行動は最低ね」
浮舟は桜木を最低男と言い放っている。
「そうだな、桜木は、わざわざそんなややこしい所に無理矢理に絡んで行かなくても良いのになあ、よっぽど朝霧の事を憎んでいるのかもなあ、
しかし、こんな恨み辛みを持って復讐だけのために生きているヤツが時々世の中にはいてるんだよなあ」
「そうよね、一千年前も同じようなサイテイ男がたくさんいたわ」
浮舟は遠くの方へと視線を移し、平安時代に思いを馳せているのか、怒りを高ぶらせているのだった。
作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊