いまどき(現時)物語
「多忙になったそんな時にね、朝霧は、ふとした事で、
妻と同期入社だった可奈子、
どうも椿子と結婚する前に付き合っていたふしがあるのですけど、
そう、今も同じ会社で働いている彼女と不倫関係に陥ってしまったのよね」
「という事は、朝霧は可奈子との関係で強請られていると言うことだね?」
浮舟は「はい、アッタリー」と、何故かヤケに明るい。
一方高見沢はそれ以上に興味があるのか、「それはハズミか、それとも昔の女との愛の復活か?」と思わず聞き返した。
「多分どちらもあると思うわ、だけど、朝霧は用心深くって、今のところ可奈子との関係は会社にはバレていないのよ」
「へえ、そうなのか、それが事実としたら、それは奇跡に近いね」
真の会社の恐さを知っている高見沢、「うーん、何でバレへんねん」と不満一杯の呻き声を発してしまってる。
「まっ、本人達は実に上手くやっているつもりなんでしょ、だけど、バカよね」
朝霧に嫌悪感を抱いているのか、浮舟はまるで吐き捨てるような言い草だ。
「そういつまでもうまく行かないと俺も思うよ、バカな連中だよ」と、高見沢は浮舟の言い分にまったく同意する。
「えっ、高見沢さん、えらい実感籠もっているよ、きっと似たような経験があるのね?」
浮舟は急に高見沢自身の話題に振って来た。
作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊