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いまどき(現時)物語

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「それがね、女性関係の悪行を全部ばらすぞって、朝霧はしつこくやられているみたいよ」と、浮舟は真顔で答えて来る。

高見沢は、「へえ、女関係ね、それってごっつうオモロそうじゃん、もっと詳しく話してよ、朝霧は結構焦っているんじゃないの」と身体全体を前へとぐぐっと乗り出した。
朝霧の悪行に興味津々だ。

浮舟は目を細めて、小声ながら、
「そらそうよ、朝霧はこんな秘密が白日の下に曝されないように一所懸命みたいよ、まだ調査不充分なのだけど、一つ一つ暴いて行く、女影武者として、これがまた結構面白いのよね」としっかりとした口調で返して来る。

高見沢は「それで、朝霧は、一体全体どうしようとしているの?」と言いながら、そのはやる気持ちを抑えるためか、煙草に火を付けた。

「朝霧って、バリバリの現役でしょ、今、スキャンダルなんかでゴタゴタしたくないのよね、サラリーマン人生を壊さずに、とにかく犯人が誰かを突き止めて、円満に解決したいのよ」

高見沢には、残念ながら上昇思考なるものは何もない。
一方出世街道をばく進して来た朝霧、彼の場合は上昇思考が異常に強い。

「順風満帆で思い通りの会社人生であるべきはずだった朝霧、だけどだなあ、ここに至って女性関係で強請られてるってか … ハッハッハー、ざまあ見ろだ! 

まあそう人生うまく行かないよ、幸、不幸の人生の帳尻はちゃんと合って来るという事だよ」
高見沢は不気味な笑みを滲ませながら、しみじみと呟いている。

「それで、強請りはナンボなんよ?」
「それがね、百万円とか、朝霧にとってあまり高額じゃないんですよね」と、浮舟は納得の行かない顔をしている。

高見沢も、額がさほど大きくなく不満気だ。
「えっ、たったそれだけか、それ位だったら、さっさと払って解決してしまった方が良いんじゃないのか、ほんとケチなヤツだなあ」

「ねえ、ちょっと高見沢さん、折角御主人様に報告申し上げているんだから、ああのこうのと言わずに、もうちょっとちゃんと聞いてよね」と、言いたい放題の高見沢を浮舟が睨み付けて来る。

「あっ、ゴメンゴメン」
高見沢は浮舟の怒り顔に微笑みを返しながら、素直に謝った。


作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊