いまどき(現時)物語
新鮮で純なエロティズム、その輝きが高見沢の脳芯を貫いて行く。
「おっおー … メッチャ色気あるよ、もう俺、とろけそうだよ」
高見沢はまさにふにゃふにゃ状態。
「高見沢さん、お久し振りです、私、こんなに元気になったわよ … どうお?」
浮舟が親しさを込めて話して来る。
「野に咲くすみれの花のような可憐な乙女子が、こんなセクシーレディに変身してしまったのか … そう、男の心を永遠に惑わすもの、それはグリーン・アイズの浮舟だ!」
高見沢は、ただただ感情を高ぶらせブツブツと独り言を吐いている。
「高見沢さん、何の脈絡もない独り言をいつまで言ってはるの?」
「うん、再会出来て、俺、今心身ともども勃起的な感動で揺れに揺れてるんだよ」と未だ落ち着かない。
浮舟はそんな高見沢の高ぶりを抑えるためか、静かに話題を変え興味をそらして来る。
「高見沢さん、女はね、男に比べずっと生命力があるのよ、何故だかわかる?」
高見沢は突然の質問を受け、とりあえず反射的に答えてみる。
「女は、本質的に図々しいからとチャウか?」
当たらずとも遠からず。
しかし、高見沢は場違いで無思考的な返事を衝動的にしてしまっている。
浮舟は高見沢にしっかり向き合い、言ってのけるのだ。
「女はね、節目節目で、脱皮して過去を捨てられるからよ、特に私、最近わかったのだけど、その脱皮が得意なの」
高見沢は、こんな場面で、日常語にはない脱皮なる言葉が突然飛び出して来て戸惑っている。
「えっ、脱皮って? あの古い皮がペロペロめくれて行くやつ? いやいや、そうだったんだ」
作品名:いまどき(現時)物語 作家名:鮎風 遊